牛肉のひつまぶし(撮影/文田信基)
牛肉のひつまぶし(撮影/文田信基)

 食料品の大幅値上げが続く昨今、家計と体に優しい、元気になれるレシピが集合。輸入肉も工夫ひとつで柔らかく食べられるAERA2022年9月5日号の記事を紹介する。

【写真】夏バテ解消の神レシピはこちら

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 空前の値上げラッシュが続いている。

 帝国データバンクは8月1日、2022年中に値上げする食品が同月中にも累計2万品目を超える見通しと発表。9月以降は8千品目以上、10月には6305品目の値上げが明らかになっている。政府は輸入小麦を民間に売り渡す価格を10月以降も現在の水準に据え置く方針を発表したが、市民の懐はすでに大打撃だ。

「冷凍食品を弁当のおかずに使えなくなった」(40代女性)、「家だとクーラー代がかかる。できる限り出社している」(30代男性)、「ランチに利用していたパスタ屋が値上げして行かなくなった」(20代女性)。値上げを嘆く声は枚挙にいとまがない。

国産牛に蒲焼きのタレ

 家計にやさしく、さらに残暑厳しいこの季節、夏バテに負けないために、食卓でどんな知恵を絞ればいいのか。一石二鳥のレシピを求め、科学する料理研究家・さわけんさんを訪ねた。

 暑い最中に精をつけるといえば、鰻だろう。だが、鰻の価格も高騰が続いている。

「おすすめなのが、鰻を牛肉に変えた『牛肉のひつまぶし』です。ひつまぶしは鰻の蒲焼きを細かく刻んでご飯にまぶした名古屋の郷土料理。薬味も加わり、味変して食べることができるので、丼より満足度が高いんです」

 この料理のポイントはたったひとつ。国産牛肉の切り落としを使うことだ。米国産と違い、霜降りで柔らかい。国産牛切り落としは輸入肉に比べれば高いが、鰻と比べるとはるかに安い。タレはミニサイズをスーパーで100円台で購入。茶碗によそい、ワサビとネギを混ぜていただく。試食したカメラマンがポツリ、「僕、これ、今夜作りますよ」。

「ご飯、肉、ご飯、肉と重ねてもいいですね。仕上げはぜひ、おダシをかけてダシ茶漬けで」(さわけんさん)

たっぷり参鶏湯(撮影/文田信基)
たっぷり参鶏湯(撮影/文田信基)

薬膳感はバッチリ

 韓国版・土用の丑の日を、「伏日(ポンナル)」という。暑気払いのために、若鶏に高麗人参などの漢方を入れて煮込んだ参鶏湯(サムゲタン)を食べる習慣がある。

「『本格的』『コスパ最高』と話題のカルディコーヒーファーム(以下、カルディ)のレトルトパックを使えば、簡単に本格的な参鶏湯を作れます」

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