先発として実績のある投手では多和田真三郎(前西武)も気になるところだ。2015年のドラフト1位で入団し、3年目の2018年には16勝をマークして最多勝のタイトルを獲得。翌年以降は自律神経失調症を患い、昨年は二軍でも公式戦での登板がなかったが、12月の合同トライアウトでは最速146キロをマークするなど復調ぶりをアピールした。病気の状態は気がかりではあるが、肩や肘の故障ではないだけに回復すればまだまだ戦力となることも十分に考えられる。能力の高さは間違いないだけに、まずはキャンプの練習に参加させて、問題なければ育成契約を結ぶという方法をとる球団が出てくることも十分に考えられるだろう。

 野手は投手に比べると少し目立つ選手はいない印象を受ける。実績という意味では陽岱鋼(前巨人)が圧倒的だが、ここ数年の成績を見ると国内の球団が好条件でオファーを出すとは考えづらい。同じ外野手であれば今年一軍でプレーをし続けた武田健吾(前中日)や勝負強い打撃とスピードが持ち味の乙坂智(前DeNA)などが年齢的なことを考えてもまだチャンスがありそうだ。

 コロナ禍とMLBのロックアウトの影響で新外国人選手についての動きも例年と比べて鈍く、12球団のうち半数の6球団が支配下の制限いっぱいの70人に対して5人以上の空きがある状況となっている。このまま補強が思うように進まず、また故障者などが出た場合には昨年の宮国椋丞(DeNA)のようにキャンプがスタートしてからも復帰を果たす選手が出てくることも十分に考えられるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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