大宮エリーさん(46)/1975年生まれ。桐蔭学園高校、東大薬学部卒。2006年に独立。クリエイティブ力を鍛えるオンライン学校「こどもエリー学園」を主宰(photo 諸井純二)
大宮エリーさん(46)/1975年生まれ。桐蔭学園高校、東大薬学部卒。2006年に独立。クリエイティブ力を鍛えるオンライン学校「こどもエリー学園」を主宰(photo 諸井純二)
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 東京大学のリケジョたちも、数学が得意だからと理系を選んだわけではない。卒業生たちはどんな理由から理系学部を志望したのか。AERA 2022年1月24日号は、東大薬学部卒、作家で画家の大宮エリーさんに聞いた。

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 小学生の頃、分数の通分がわかりませんでした。ケーキの絵を描いて、何等分かに分けて、ビジュアルになってやっと納得できました。でも、それでは試験の時間内に終わりません。 

 理解しないと前に進めないタイプでした。でも、そういうのは「意外と理系に向いている」そうです。理系科目に弱い理系研究者タイプでした。 

 中学、高校も、数学の授業のスピードについていけませんでした。だから授業は聞かず、参考書を買って自分のペースで理解したんです。期末テストにはなんとか間に合わせていました。 

 転機は、中学生の頃に地球の砂漠化を取り上げたNHKのドキュメンタリーを見たこと。砂漠でも育つ植物を研究してみたいと思い立ちました。それにはバイオ系、つまり理系に進まなくてはなりません。文理選択のとき、理系と書いたら先生に「間違えてない?」と呼び出されました。でも、言ったんです。 

「先生、地球を救いたいのに、数学が苦手だからといって諦めていいんですか」 

 すると、先生は「東大だったら、いけるかもしれない」と。あとからいろんな人に聞いたら「0点でも入れるかもしれない」とのことでした。要は、東大の2次試験(一般選抜)の数学は難しすぎるから、得意な人との点数差が開きにくいのです。そこで私は中間点を狙い、その分、国語や英語で満点を取ろうと思ったんです。 

 1浪を経て、理科II類に合格。のちに教授から「数学は0点だったぞ」と言われました。 

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