青木厚(あおき・あつし)/医学博士。あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病が専門。著書『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)がある
青木厚(あおき・あつし)/医学博士。あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病が専門。著書『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)がある

 活性酸素が増える原因には、ストレスや紫外線、ウイルスや細菌、毒物などの異物の体内への侵入、過剰な運動など、さまざまなものがありますが、「食べすぎ」もそのひとつだといわれています。

「断食」をすると、活性酸素の量が減ります。つまり、活性酸素がもたらす細胞の老化や病気を予防することができるのです。

◆10時間後、脂肪が分解される

 断食開始からおよそ10時間後、いよいよ脂肪の分解が始まります。脂肪とは、エネルギー源として使い切れなかった糖質の一部が、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられ、それでもおさまりきれず脂肪細胞になったものです。

 断食をしている間、外部から糖質を補給することができなくなるため、体はまず、肝臓に蓄えられたグリコーゲンを利用して、エネルギーを作ります。ところが、最後にものを食べてから10時間ほど経つと、肝臓に蓄えられたグリコーゲンもなくなり、体は次に、脂肪を分解してエネルギー源に変えようとします。

 つまり、空腹の時間が長くなればなるほど、体内の余計な脂肪が分解され、減っていくのです。特に内臓脂肪は、皮下脂肪に比べて落ちやすいという特徴があります。

◆血液や血管の状態がよくなる

 脂肪の分解がすすむと、血液中の脂質が減って圧迫されていた血管が解放されます。トータルで12~24時間、空腹の時間を作ると、血液中の糖質も20%程度低下するともいわれています。

 血液や血管の状態が改善されて血流が良くなると、高血圧や血行不良にともなう体調不良が軽減されます。

 内臓脂肪や血管障害は、がんや糖尿病、動脈硬化、心疾患や脳血管疾患といった生活習慣病の大きな原因のひとつです。断食を行うことで、それらにかかるリスクを減らすことができるのです。

◆オートファジーの老化予防効果

 断食開始から16時間後、体に備わっている「オートファジー」という仕組みが働き始めます。オートファジーがもたらしてくれる恩恵は計り知れません。断食を行うことの最大のメリットだと言えるでしょう。

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食べ過ぎで腸内環境も悪化