写真はイメージです(Getty Images)
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 たびたび話題になる「ファスティング」や「断食」。以前から、「カロリー摂取を控えることが、さまざまな病気を遠ざけ、長生きにつながる」ことは知られていたが、近年、アメリカの医学界で発表された研究論文の数々によって「断食」の効果が次々と明らかにされているという。『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)の著者で、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚氏(医学博士)が、医学的な知見から「空腹」の効果を解説する。

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 断食の効果とは、体重や体脂肪の減少につながること、そして、

・糖尿病

・悪性腫瘍(がん)

・心血管疾患(心筋梗塞や狭心症など)

・神経変性疾患(アルツハイマー型認知症やパーキンソン病など)

などの予防に効果があるということです。

 では、私がおすすめする「16時間断食」をしているあいだ、体の中で何が起きているのか見ていきましょう。

◆内蔵を十分に休ませる効果

 まとまった「空腹の時間」を作ると、まず、内臓の働きがよくなります。

 習慣的に1日3回の食事をとったりしていると、前に食べたものを消化している間に次の食べ物が体内に入ってくるため、内臓は休むことなく働き続け、疲弊してしまいます。

 胃や腸、肝臓などが疲れてしまうと、働きが鈍くなり、「栄養をしっかり吸収できない」「老廃物がきちんと排出されない」といったことが起こりやすくなります。

 また、腸内環境が悪化し、免疫力も低下するため、体調不良に陥ったり、病気にかかりやすくなったりします。

 週に1回でもかまいません。まとまった「空腹の時間」を作ると、内臓は十分に休むことができます。その結果、内臓の疲れがリセットされて、しっかり働いてくれるようになります。

◆体のサビの元、活性酵素を減らす

「断食」をして一時的に栄養が足りなくなると、活性酸素を除去する酵素が増えるため、活性酸素の量が減るともいわれています。

 活性酸素には「ものを酸化させる(錆びさせる)力」があります。その力は体内に侵入したウイルスや異物などを殺菌・排除してくれますが、一方で、体内のDNAや細胞をも傷つけて、がんや糖尿病といった生活習慣病や脳疾患などにかかりやすくなり、細胞の老化の原因にもなるのです。

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断食をすると活性酸素が減る