首都圏を襲う巨大地震はいずれやってくる。では、そのときにどう対応すればいいのか。
最も大事なことは、地震が発生したらすぐに自らの身の安全を確保することだ。古くから地震が起きたときは「まず火の始末」と言われてきたが、それはちょっと違うという。防災科学技術研究所の平田直参与が説明する。
「現在のガス設備は、大きな揺れを感知すると自動的にガスの供給が止まる仕組みになっています。地震が起きたときには、まず安全な場所に移動すること。1981年の建築基準法改正以降の建物であれば、建物の耐震性は高いので、ただちに崩れることはありません。最初の3分間は身の安全の確保をしてください。耐震化されていない建物であれば、外の安全な場所に退避する必要があります。強い揺れがいったんおさまってから、家の外に出る必要があればガスや電気のブレーカーを切って外出してください」
東日本大震災では、地震発生直後に職場などから自宅に歩いて帰ろうとする大量の「帰宅困難者」が生まれ、交通インフラをマヒさせた。これにも対策が必要だという。
「鉄道などの公共交通機関がストップしているなかで多くの人が自宅に帰ろうとすると、駅や道路が混雑します。消防車や救急車も動けなくなってしまう。そこで、都では震災時にむやみに移動せず、職場や安全な場所にとどまるよう、条例で水などの必要物資の備蓄を義務づけています。大きな地震が発生したときは、会社などに残り、一斉帰宅は控えてください」(平田氏)
2018年の大阪府北部地震では、ブロック塀の下敷きとなって9歳の女児が死亡した。揺れが起きたときは、こういった危険な箇所に近づかないことも重要だ。
日本中どこに住んでいても、大きな地震はやってくる。天災は避けることはできないが、被害を減らすことはできる。水害対策に詳しいリバーフロント研究所の土屋信行・技術審議役は言う。
「災害対策の基本は、自分の住んでいる地域の特性を理解し、あらゆる事態を想定して対策をしていくことです。災害が発生したとき、どこに逃げればいいのか。避難所に行く場合はどのような持ち物が必要なのか。『知って、恐れて、備えよ』がすべての基本です」
(本誌・西岡千史)
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※週刊朝日 2022年2月4日号より抜粋