放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、31年前の替え玉受験事件について。
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このコロナ禍の中で受験する人達は大変だが、受験と聞いて思い出すことがある。
今から31年前。1991年。ワイドショーやニュースでかなり話題になった事件。「明治大学替え玉受験事件」を覚えているだろうか?
当時、かなりの人気タレントだった「なべおさみ」さんの息子さん、他計20人近くの人達の替え玉受験が発覚した。
受験する生徒の代わりに、明治大学などの学生が「替え玉」として受験をするのだ。まあ、立派な犯罪である。
その仲介をするブローカー的人がいて、替え玉として受験した学生たちには、その人たちから対価が支払われるのだろう。
結果、それがバレて、大騒ぎになった。当然、替え玉として受験した学生は、大学を辞めることになる。僕は当時19歳。ニュースで見ていて「この人達、人生終わったな」と思っていた。
それから数カ月がたち、1992年の2月。僕の放送作家としての人生が始まる。
ラジオ局のニッポン放送で、放送作家見習いとして仕事をすることが出来た。仕事と言ってもギャラ0円だが、憧れのメディアで、ラジオ局で、ずっと聞いてきた人気番組ばっかりやってるその局で見習いだろうが働けることは夢のようだった。
二本の番組で勉強できることになった。一個は山田邦子さんの番組。そしてもう一個が、火曜日の深夜3時からやっていた「槇原敬之のオールナイトニッポン」である。今はCreepy Nutusがやってる枠ですね。
初日、深夜24時ごろにニッポン放送に向かう。そしてスタッフに挨拶する。その番組についていた作家さんは全部で2名。チーフ作家とセカンド作家。セカンド作家のAさんは僕より4つほど年上で、数カ月前に入って来たばかりでとても優しい人だった。