
「フリーではこのショートプログラムより難しい構成が待っています。練習から毎回ノーミスできている内容ではないので、高望みはそこまでしてないです。僕が求めてるのは『練習につながる試合』と『試合につながる練習』です」
結果を求めるのではない。あくまでも成長することを大切にする。メダル圏内で折り返しても、その姿勢を貫いた。
続く鍵山は、6日の団体戦フリーに出場し、2日後が男子ショートというハードスケジュール。しかし団体戦での自己ベスト更新が自信になり、勢いが止まらない様子でリンクに立った。
「団体戦のときは謎の自信だったんですけど、今日は自分が思う自信。良いジャンプを跳べたことで『五輪でも自分はできるんだぞ』という気持ちでした」
滑りはじめから笑顔がこぼれ、飛距離のある4回転サルコーと、4回転トーループ+3回転トーループを華麗に決める。スピード感、なめらかさ、そして卓越したフットワークのすべてが詰め込まれた演技だった。
結果は自己ベスト更新となる108.12点。すべてのジャンプに「+5」をつけるジャッジがいる、質の高い演技だった。
「今季前半は、去年の世界選手権(の銀メダル)を勝手に背負って、新しい自分を出さなくてはとプレッシャーを感じていました。今日は本当に全力でやりたいという気持ちだけでした」
■緊張で身体が硬くなる
2日後のフリー。宇野は今季の目標に掲げた「4回転5本」に挑んだ。フリーで5本に挑むのはネイサン・チェン(22、米国)と宇野だけ。世界の頂点で戦うためのプログラムだった。
宇野は冒頭の4回転ループを成功するも、4回転サルコーで詰まり気味になり、4回転フリップで転倒。そこからは気迫だけだった。2本の4回転とトリプルアクセルで、わずかなミスが続いても、前を向き続けた。
「久々に身体が硬くなるような緊張をしたと思います」
フリー187.10点、総合293.00点でメダルが確定すると、ホッとした様子でうなずいた。結果を求めないことを信条とする宇野でも、緊張したのだろうか。こう打ち明けた。
「この4年間、色々なことがあり、再びこの(表彰の)場に立てました。僕は山田満知子先生と樋口美穂子先生のもとで、スケート人生を一生送るつもりでした。ただトップを目指すために外に出た方が良いと言われ、色々なことがあってステファンコーチのもとに行き、色々なことを経て五輪3位になれた。感慨深いものがあります」