フィギュアスケート男子シングルで銀メダルに輝いた鍵山優真選手。ショートに続いてフリーでも質の高い演技をみせ、日本人3選手のトップに立った。宇野昌磨選手は2大会連続でメダリストとなり、新時代が幕を開けた。AERA 2022年2月21日号は「フィギュア」特集。
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日本男子の最強時代を印象づける二つのメダルだった。鍵山優真(18)は、ショート、フリーともに力強い滑りで銀メダル、宇野昌磨(24)は2大会連続のメダルとなる銅メダルを手にした。共に世界を目指してきた2人が、お互いの存在があってこそつかんだ輝きだった。
宇野と鍵山は共に2月2日、北京に到着。団体戦を戦い抜き、8日の男子ショートを迎えた。宇野は22番、そして鍵山が27番の滑走に決まった。
宇野は、新型コロナウイルスの陽性反応が出て団体戦に間に合わなかったステファン・ランビエルコーチが合流し、目に見えて調子が上がっていた。「オーボエ協奏曲」の端正なメロディーに乗り、キレ味のある4回転フリップを成功。今季の課題としていた「4回転トーループ+3回転トーループ」は、思い切って跳んだものの手をついた。
■滑りはじめから笑顔
「4回転トーループを跳んだときは(3回転も)いけそうだったんですけど、これが練習と試合の違い。試合で失敗し続けないと、やはり身につかないものなのかなって感じました」
そこから集中力を高めた宇野は、流れのあるトリプルアクセル、スピン、ステップすべてを大切に演じていく。得点はジャンプがノーミスだった団体戦を上回る105.90点。一瞬驚いたような表情をする宇野に、ランビエルコーチが親指で「グッド」を示し、褒めたたえた。
「ステファンコーチが来てくださったことで、団体戦でスピンやステップ(のレベル)を取りこぼした原因を話し合って、そこを意識できました」
スピン、ステップで得点を伸ばしての自己ベスト更新だった。そしてフリーに向けて語る。