ハーバード大学とジュリアード音楽院というアメリカの超名門大学を卒業したバイオリニストの廣津留すみれさん(28)。ハーバードへは大分の公立高校から現役合格している。廣津留さんの頭の中を探るべく、どんなふうに音楽や勉強とかかわってきたのかを語ってもらうAERA dot.の新連載。第2回は、子ども時代に学んだことや培った思考について聞いた。
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海外で生活をした経験なしに、ハーバード大学へ進学し、卒業した廣津留さん。最近は子どもの教育について相談を受けることが多いという。
「『どう勉強させればいい?』『やらせたいことがあるけれど子どもが嫌がって……』。教育熱心な親御さんたちから、そんなご相談を受けることが多いです。私の小さいころを振り返ると、何かを強制されたことはなく、母が日常のなかで自然と学びへの興味を引き出すような声掛けをしていたと思います。例えば一緒に散歩に出かけたときには、『これなんて書いてあるんだろうね』『それ面白そうじゃない?』と、母自身がめちゃめちゃ興味のあるフリをするんです。すると子どもながらに、すごいことなのかなと関心を持つじゃないですか」
■間違いにこだわらずに全体を通してやってみる
廣津留さんの母親は、現在英語教室を主宰し、英語関連の著書もある廣津留真理さん。母親を通して、物心つく前から英語に触れていた。
「幼いころから母に英語を教わってきました。母の英語の教え方は、“記号的に読み解く”ということが完全にメソッド化されていました。細かな文法を教えるのではなく、例えば段落ごとに丸をつけて、『ここは一段落』と分ける“作業”を行う。そうやって子どもがゲーム的に楽しめるようにしていました。また、一つひとつの間違いにはこだわらず、とりあえずざーっと全体を通してやってみることを優先していましたね。概観を把握する力を身につけさせようとしていたのかもしれません」