英語をゲームのように楽しんでいるうちに力がつき、4歳のとき、英検3級に合格した。
「3級からは面接試験もあるのですが、家では面接室のドアを開けるところからジェスチャーを使って練習したんです。受け答えの方法というより、身体的な動きを交えた練習をするので、ぐっと興味が湧いて面白がりながら面接のシミュレーションをしていました。大人になったいまも、バイオリンの舞台に立つ前には頭の中で、舞台袖から舞台に出て上手く演奏して、また舞台袖に戻ってくるまでの成功シミュレーションをします。そうすると本番がうまくいくんです」
■広い空間で集中し、机の上は「終わったら片付ける」
英検も大学受験のときも塾には通わず、家で勉強した。意外にも、廣津留さんは自分の部屋で勉強する習慣がないという。
「英語の勉強もそうでしたが、小さいころから宿題も本を読むのも、家のリビングにある大きな机でしていました。ハーバード大を受けるための勉強をしたのもリビングでしたね。うちのリビングにはテレビがなく、生活音しか聞こえないので、集中するのに困ることはなかったです。自分の部屋で勉強しなかったのは、広い空間のほうがはかどったからじゃないかな。少し疲れたらソファーで仮眠をとって、また勉強に戻るという感じでした。バイオリンもリビングで練習していて、手が届く範囲に楽器も譜面台も全部置いていました」
勉強をするときには、学校のカバンから道具を取り出して、終わったら元に戻すことを習慣にしていました。机に向かうとき、最初に視界からいらないものを排除すると集中力が高まるんです。終わったらすぐに片づけるというのは、私が日々のタスク管理のために行っているTo Doリストを消していく作業と同じですね。それと、いま気づいたのですが、テレビ番組やコンサートに出演するときに楽屋に用意していただく幕の内弁当も、つい仕切られた一画ごとに食べ進めて『よし、このセクションは終わり』と思ってしまいます。小さいころから染みついている思考のクセですね(笑)」