―――長い間、大学の取材に関わってきました。大学進学に関してはどのように指導していきますか。
18歳人口の減少と教育改革で受験制度も変わっており、国公立大学でも総合型選抜があたりまえの時代になっています。やりたいことが決まっている生徒は、学校推薦型選抜や総合型選抜を利用すればいい。進路指導も変えていく必要があります。保護者へは、自分たちの時代とは受験が変わっていることを理解してもらわなければなりません。
「サンデー毎日」のデスク時代、東大合格者特集で東大合格者にアンケートを取ったことがあるのですが、合格発表の時点で疲弊している受験生がいました。せっかく勉強して東大に合格しても「東大まで」の学生になっては意味がない。本校はクラブ活動も盛んですが、勉強だけでなくいろいろな経験を積むことで、非認知能力を高められればと思っています。
―――今までの経験を、どのように生かしていきますか。
僕の強みは大学を中心とする全国の教育機関に、ネットワークや人脈があることです。今いろいろな先生方に、オンラインで模擬授業をやってほしいとお願いしています。大学の学びの面白さを知れば、生徒は知的好奇心を育み、自ら学びたいと思うようになるでしょう。また学校をオープンにしていろいろな人に関わってもらい、生徒や教員に少しでも刺激を与えることができれば、と考えています。
日本は少子化に向かっています。また、情報・通信技術が加速度的に発達しているだけでなく、地球温暖化やロシアによるウクライナ侵攻など、各国が協調して解決しなければならないような時代を迎えています。それだけに、自ら問いを立てて解決策を考えられるような人を育てていかなければなりません。毎日新聞社では、約20年、教育に携わり自由に書く仕事をさせてもらいました。毎日新聞社での35年間がなければ、校長になるという展開もなかったでしょう。今度はこれまでの経験のすべてを、人を育てることに注いでいきたいと思っています。
(構成/柿崎明子)