今年6月、鶏肉の生食が原因とみられる食中毒が発生し、愛媛県内のラーメン店が営業停止処分を受けた。鶏肉を原因とする「カンピロバクター食中毒」はほかにも被害が報告されている。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「牛レバーや豚肉と異なり、鶏肉の生食は法律で禁止されていない。消費者は正しい知識を身につけ、危険なメニューを避けるしかない」という――。

ほぼ生にしか見えない鶏レアチャーシューが提供されていた(「KANEOKARAMEN」の公式Instagramより)
ほぼ生にしか見えない鶏レアチャーシューが提供されていた(「KANEOKARAMEN」の公式Instagramより)
この記事の写真をすべて見る

食中毒が多発した「レアチャーシューラーメン」

 鶏のレアチャーシューを売り物にしていた愛媛県内のラーメン店「KANEOKARAMEN」が6月30日、カンピロバクター菌の食中毒を引き起こしたとして営業停止処分を受けました。発症者は19人。店のInstagramには、外側が白いだけで中はほぼ生の鶏肉のスライスを乗せたラーメンの写真が掲載されており、ほかにも、生にしか見えない鶏丼も提供されていました。

 このラーメン店は、兵庫県西宮市にある株式会社OMOのフランチャイズ加盟店です。OMOがプロデュースしたラーメン店は全国にあり、それぞれ同様の鶏レアチャーシューや鶏丼を提供していたことがわかり、SNSで騒ぎになりました。企業は鶏レアチャーシューの提供を中止したことを公式サイトで報告しています。

 鶏肉の生食が原因のカンピロバクター食中毒は頻繁(ひんぱん)に起きています。行政が注意を呼びかけていますが、被害は後を絶ちません。鶏肉だけでなく、レアハンバーグやレア豚カツなどほかの“生食料理”もSNSなどでよく話題となっています。はっきり言って、非常に危険です。

 どうして店は、そんなヤバいメニューを提供してしまうのか? なぜ、国は禁止にしないのか? そして、消費者は店でどのような点に気をつけてメニューを選んだらよいのか? この3点について深掘りしていきます。

次のページ