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 それでは、親子関係をパワハラにしないためにはどうすれば良いのでしょうか。

■「言うことを聞かない子ども」の背景には何がある?

 まず何よりも大切なことは、保護者自身が疲労を溜めないこと。親自身が疲れていると、どうしても物事を大きな目で見られなくなります。

 子どもが小さいうちは大変手がかかります。少し大きくなると、今度は価値観のぶつかり合いです。子育ては、それ自体が大変エネルギーを消耗しますから、ただでさえ仕事や家事で疲れているときには、一気に疲労感が募ります。

 すると、子どもが言うことをきかなくても普段なら流せるのに、疲れていると怒りの沸点が低くなりますので、瞬間的にキレたようになって、子どもを威圧して言うことをきかせようとしてしまいます。これが続くと「親子パワハラ」になります。

 親はとにかく、イライラしてきたら、自分自身がしっかり休み、質の良い睡眠をとるようにしてください。

 そして同じように、「言うことを聞かない子ども」も、「疲れているのかも?」という観点から見てあげてください。

 一見わがままや怠けグセのようであっても、子ども自身が疲れている可能性はとても高いです。特に、現代の子どもたちはいろいろと疲れていますので、食事や睡眠をきちんと取れているか、休めているか、観察して気にかけてあげてください。

■「子どもの話を聞いている」と言う親が本当はできていないこと

 親子間で問題やトラブルが生じたとき、双方が怒りの応酬にならないための、大切なコツをお伝えしましょう。

 保護者は「子どもの言い分を全部聞く」ように心がけてください。

「子どもの話を聞くのが大切」と、ほとんどの方は理解しています。しかし、実際には、聞いているようで聞いていない方はとても多いです。

 表面上は聞いているようでも、頭の中では、子どもをどう説得するかばかり考えていて、子どもが話しても、すぐに否定してしまう。こうした態度を、子どもは敏感に察知して、やがて話す気をなくしてしまいます。

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