
一方で選手たちには、フィギュアスケートならではの進路が存在する。ルールにのっとり採点を行って選手の優劣を定める「競技」とは別に、審美的な観点から演技を行いそれを披露する、「ショー」があるのだ。こちらは、佐野稔氏らが立ち上げ40年以上の歴史を持つ「プリンスアイスワールド」や、4日に浅田真央さんが開催を発表した「BEYOND」など、いくつもの興行公演が行われている。フィギュアスケーターで「プロ」といえば、こういったエンターテイナーとしての専門性を持ち、それを職業とする人を指すのである。
会見で羽生は「引退」の二文字を「好きではない」と述べ、プロのアスリートとしてさらなる進化を遂げたい、と強調した。審判員の明確な判定を受けられないまま技術力を磨くという事は、正解を与えられぬまま道なき道を進むに等しい。それでも「自らの理想を追求したい」と明言した羽生。常に挑戦者であり続ける彼らしい、競技生活の幕引きだった。
(本誌・菱守葵)
※週刊朝日オンライン限定記事