先日、自炊をテーマにした本のなかの、著者と管理栄養士の対談を読んでいたら、自炊をしようとして、面倒くさくて手に余る野菜が、玉ねぎとキャベツとあって、びっくりしてしまった。なぜ玉ねぎが面倒くさいのかというと、あの外側の茶色い薄皮を取るのが面倒、キャベツは大きすぎるのでもて余すというのがその理由だった。

「玉ねぎの薄皮……」

 ちょっとショックだった。あれを取るのが面倒といわれたら、もう何もいえない。

 薄皮と本体の間にすきまができれば剥きやすいわけで、私は水をちょっと流しながら剥いたり、薄皮をつけたまま上の部分をカットして、それを半分に切って剥いたりしていたが、調べてみたらそれはすべてインターネットにある情報だった。薄皮が剥きにくいというのだったら、どうすれば剥きやすくなるか、というところには頭が回らないらしい。誰かが親切に教えてくれているのに、それを得ようともしない。そういう人は玉ねぎの薄皮を大量にためて、それで布を染めるなんて、信じられないだろう。

 自炊をしようと考えたものの、玉ねぎの薄皮、キャベツ問題でうんざりしている人たちが、目の前にそれを解決できる情報がたくさんあるのに、それを知ろうとしないのはなぜだろう。それを知りさえすれば壁をひとつ越えられるのに、それをしようとしないのが不思議だ。公共放送の料理番組で、キャベツ炒めを紹介していたのにはびっくりしたが、これも現代では有効な情報なのかもしれない。インターネットでも有効な情報は溢れているから、それをうまく利用して自炊をしている人も多くいるはずなのだ。

 私の周囲には料理好きの人が多く、料理を作るうえで有効な情報を与えてくれるのだが、知識として頭の中には入っているが、試した数は少ない。以前に書いた、たこを低温調理で柔らかくするという、プロ並みの手順も、私にはほとんど必要性がないからである。でもそこまでしておいしい料理を作ろうとする人は、本当に立派だなと尊敬するのだ。

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