たしかにきっかけは何であっても、料理だけではないが、習慣づけは大切だ。朝、缶飲料やペットボトル飲料、それに菓子パンで済ませていたのが、菓子パンをやめてトーストにしただけでもワンランクアップである。市販のカップスープの素だってたくさんあるし、インスタント味噌汁だってある。それにレンチン御飯の一手間をするだけでも、缶飲料と菓子パンだけよりは、ずっとましだと思う。ペットボトル飲料と菓子パンに慣れてしまうと、それの楽さにどっぷり浸かってしまい、なかなかそこから抜け出られない。

「ちょっと、やってみるか」

 のきっかけをどこにするかが問題だ。

 いろいろと若い人から話を聞くと、やはり体調を崩してから食事を見直したという人が多かった。私も甘い物の食べ過ぎで体調を崩して、それが自分の食生活を見直すきっかけになった。特に問題がない毎日を送っていると、なかなか気がつかないものなのだ。

 以前、麻雀を一緒にしていた若い男性が、

「花粉症がひどくて」

 と悩んでいた。下を向くので、鼻水が出るのが辛いといっていた。それからしばらくして女性と知り合って同棲をはじめると、相手の女性がとても料理が上手で、これまで缶コーヒー、カップラーメン、外食続きだったのが、彼が家にいるときは必ず料理を作って食べさせてくれるようになった。すると、花粉症の症状が出なくなったと喜んでいたと、共通の知り合いから聞いた。それだけ食事って大切なのだなと、この話を聞いたときにあらためて思った。花粉症の症状が出る原因が、すべて食の乱れではないだろうが、カロリーだけではなく栄養が摂取できるようになって、体がよい状態になっていったのだろう。

 若い男性で体のために自炊をしたいと考えている人がいて、

「どんなものを準備したらいいですか」

 と聞かれたことがある。そのとき私は、

「炊飯器と電子レンジがあるんだったら、包丁、まな板、蓋つきのフライパン、それに菜箸があれば、何とかなるんじゃないのかな。野菜は玉ねぎ、人参、キャベツと、あとは安くなっているものを買うとか。面倒くさかったらカット野菜もあるしね。それに肉、卵、納豆、味噌、醤油。大好きなマヨネーズがあれば、最低限は保証されるんじゃない」

 と答えた。彼は自分なりに工夫をして自炊をし、結婚後も料理を続けて、働く妻のために御飯を作ったりもしているようだ。

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