XF10-24mmF4 R OISの上級バージョンとして発売されたレンズ。全焦点域で開放絞りがF2.8と明るくなり、広角側の画角も広がった。重量約805グラムと、手にすると重く大きなレンズだが、スーパーEDレンズを多用した13群20枚構成の光学系からも、描写への妥協ない仕上がりが感じられる。厳密な比較撮影を行ったわけではないが、解像力のキレは別格である。
画像の中心と周辺部とのピントのズレを補正する像面湾曲補正レンズが組み込まれ、絞り開放から画面周辺部まで像の流れも極めて少なくシャープだ。また周辺部での色ズレ(倍率色収差)もほとんど気にならないので、超広角特有の画質の安っぽさもない。最短撮影距離は25センチと一般的だが、絞り開放で見るボケは輪郭もやわらかく滑らかな描写となっている。各可動部にはシーリングが施され、写真のような厳しい条件下では高い防塵・防滴性能が発揮される。まさに風景撮影向きレンズといえるだろう。(辰野清)
■リコーイメージングHD PENTAX-DA★11-18mmF2.8ED DC AW
描写性能で妥協しない「スターレンズ」の名にふさわしい高い解像力と画像周辺部まで安定した写りが魅力。超広角レンズ特有の強い遠近感を生かした迫力ある写りを楽しめ、景色をより魅力的に見せる。いわゆる「大三元レンズ」の超広角のパートをしっかりと担ってくれる製品となっている。最近流行の星景写真を写す際にもイチオシの性能を発揮し、開放絞りでも画面周辺部までにじみのないきれいな星像が得られる。
ただし、同社カメラの「アストロトレーサー機能」を併用した場合、画面周辺は星の動きとセンサーの動きが完全に同期しないため、星が流れて写る。完璧な点像を求めるには、開放絞りと高感度の組み合わせか、赤道儀の併用がベストだ。ピントのズレを防ぐ「フォーカスクランプ機能」の搭載や、結露防止用ヒーターを巻きやすいレンズ筐体のデザインなど、実用面を重視した設計が行われていて、使ってみるとそのよさが実感できる。(小林義明)
写真と文=清水哲朗、中西敏貴、三宅岳、福田健太郎、三好和義、高橋真澄、辰野清、小林義明
※『アサヒカメラ』2019年10月号より抜粋