遠藤航

■守りのサッカーだけでは無理

 元日本代表の田中マルクス闘莉王はクロアチア戦前に自身のYouTubeで、「この戦い(守備を固める戦術)を続けて未来がある戦いになるかというと、未来がないです。この固さ的なところは非常によかったが、それは2010年でもできていることなんですよ。あの時は自分たちでアクションを起こせないから、リアクションのサッカーになって成功した」と指摘。自身が出場し、ベスト16に進出した南アフリカW杯を引き合いに出した上で、「未来的には2050年に優勝したいと口にしているが、それをするにはリアクションのサッカーだけじゃ無理。守りのサッカーだけでは無理。自分たちでどんどん崩して、相手にいろんなジャブを送り出せるようなサッカーをしないと今後はない」と提言する。

 スポーツ紙デスクは、FWの人材不足も課題に挙げる。

「中盤、ディフェンスと世界に対峙できる選手が増えているが、日本に欠けているのは点の取れるストライカーです。前田大然はスピードを武器に力を発揮しましたが、ポストプレーでボールを収められる選手がいなかった。上田綺世はその役割を期待されたが、先発出場したコスタリカ戦でボールを失うことが多く、前半で退いた。今大会はこの1試合出場のみで不完全燃焼に終わりましたが、体の強さ、シュート力は日本人の中でトップクラス。欧州で実績を積み重ね、26年のW杯ではリベンジしてほしいですね」と期待を込める。

久保建英
冨安健洋

 今回のカタールW杯で日本代表の26人のメンバーのうち、初選出の選手が19人。遠藤、久保、三笘、冨安健洋ら経験を積んだ選手たちが4年後の26年W杯でも主力として期待されるが、新たな力も必要だ。鈴木彩艶(浦和レッズ)、菅原由勢(AZアルクマール)、松木玖生(FC東京)、藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)、中井卓大(レアル・マドリード・カスティージャ)ら若手成長株のほか、今回の代表メンバーから落選したが、古橋亨梧、旗手怜央(ともにセルティック)ら実力者たちも十分にチャンスがある。今後の日本代表はどのようなスタイル、メンバー選考で世界の強豪国と対峙するか。4年後に向けての戦いは、早くも始まっている。(今川秀悟)

週刊朝日  2022年12月23日号

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