堂安律

 日本代表の最大の武器が組織力であることは間違いない。統制の取れた動きで守備のブロックを敷き、ボールを奪うとショートカウンターを発動して敵陣に襲いかかる。現地で取材するスポーツ紙記者は、今回のW杯で市場価値が急騰した選手たちの名を挙げる。

「1番は三笘です。カタールのサッカーファンの間でも『日本の背番号9(三笘)はすごい』と話題になっていました。わかっていても止められないドリブルで、ドイツ、スペインの守備網を切り裂いていた。パスでも好機を演出できるので、ビッグクラブにステップアップするのは時間の問題だと思います」

 堂安もインパクトを残したと話す。

「以前は好不調の波が激しいのが課題でしたが、クラブで高いパフォーマンスを安定して発揮できるようになり、今大会も出色の出来だった。ゴールだけでなく、ボールを失う機会が少なく攻撃の起点になっていた。ブンデスリーガで2年連続デュエル勝利数ナンバーワンの遠藤航も、その実力を大舞台で改めて発揮した。フィジカルコンタクトで当たり負けせず、ボールを奪い続ける姿は日本代表の心臓と言える。攻撃の組み立てで改善の余地がありますが、足元の技術が高い選手なので伸びしろは十分にある。欧州のクラブ関係者も『遠藤は世界屈指のボランチになれる逸材だ』と太鼓判を押していました」

 収穫は多かったが、課題も見つめ直さなければいけない。グループリーグ2戦目のコスタリカ戦では0-1で黒星。ボールを保持する時間が長かったが、コスタリカの守備を崩しきれなかった。クロアチア戦も途中出場の三笘が徹底マークに遭うと、攻撃が手詰まりに。戦術の引き出しが少ないことを露呈した。

 日本は相手国を上回る試合は、中盤を支配するスタンスでゴールを狙う。一方で優勝候補の格上相手になると、守備を固めてカウンターのサッカーに切り替わる。この戦い方がドイツ、スペイン戦でハマったが、コスタリカ、クロアチア戦で攻めあぐねたように攻撃のバリエーションはセットプレーを含めて物足りない。ベスト8以上を狙うならば、改善の余地がある。

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