カタールW杯で日本代表は魅せた。下馬評をくつがえして、優勝候補のドイツ、スペインを撃破、グループリーグを1位で突破した。収穫の多かった大会だが、課題も見えてきた。4年後のW杯でベスト8以上を狙う日本が進むべき道とは。
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世界に衝撃を与えたのが日本だった。苦戦が予想されたグループリーグで優勝候補のドイツ、スペインを撃破。決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦も前半に先制したが、史上初のベスト8進出への道は遠かった。後半に同点に追いつかれると、PK戦で敗れた。
日本がジャイアントキリングを立て続けに達成した大きな理由が、守備の強度だ。前線から前田大然が無尽蔵のスタミナで相手DFにプレッシャーをかけ、中盤の選手もパスコースを限定して走り回る。個々の技術が高いドイツ、スペインにボール支配率で圧倒されたが、ゴール前で決定的な場面が少なかったのは、ピッチに立っている日本の全ての選手が守備への意識が高かったからにほかならない。交代枠が5人に広がったのも日本に追い風だった。選手層が厚くなり、スタミナを消耗した選手を迷いなく代えられる。2-1で逆転勝利を飾ったスペイン戦。試合後に敵将のルイス・エンリケ監督が「アグレッシブに来てスペースを消されると(攻略するのは)難しい。こんなクラブやナショナルチームは世界中を探してもなかなかない」と脱帽していたのが印象的だった。
森保監督のマネジメント能力も光った。選手全員が同じ方向を向くように意識させ、ベンチスタートの選手もモチベーションが高かった。ドイツ戦で後半から途中出場した堂安律が後半30分に同点ゴールを決めると、浅野拓磨が同38分に決勝弾をたたき込んだ。スペイン戦も久保建英が前半に高いパフォーマンスを見せていたが、0-1の後半開始と共に堂安へ交代。この采配が的中する。後半3分に堂安が左足一閃のミドルシュートを決めると、途中出場の三笘薫も躍動。同6分にゴールライン際から折り返し、田中碧が押し込んで決勝ゴールを決めた。