楽天・辰己涼介(日刊スポーツ)
楽天・辰己涼介(日刊スポーツ)

「メジャー契約を勝ち取るのは難しい」

 一方の辰己。昨年は全143試合に出場して最多安打(158本)のタイトルを獲得したが、今季は春先に打率1割台と打撃の状態が上がらず4月21日に登録抹消になった。5月上旬に再昇格した後はスイングの鋭さを取り戻し、打率を.255に上げてきたが、得点圏打率は.220と物足りなさがある。センターの守備能力と走塁技術は高いが、打撃の確実性や長打力という際立った武器がないため、インパクトに欠ける。

 前出のメジャーリーガーの代理人は辰己についてこう話す。

「日本人野手の場合、メジャーで活躍したケースが少ないので、辰己がメジャー契約を勝ち取るハードルはさらに上がります。パワーでは見劣りするため、スピードで勝負することになりますが、打撃のコンタクト能力が決して高いとは言えない。やはりメジャー契約を勝ち取るのは難しいと思います」

 メジャー挑戦を決断しても、思い描いた契約を勝ち取れる保証はない。近年、メジャーの移籍市場の動きが遅く、大物選手の移籍が決まるまで動かない傾向もある。昨オフ、広島から海外FA権を行使してメジャー挑戦した九里亜蓮は、移籍市場の動きが鈍かったため、国内移籍へ方針転換し、オリックスに移籍した。

現在6連勝中、防御率1点台の左腕

 一方で、メジャー球団の評価が急上昇している投手がいる。ソフトバンクの左腕、大関友久だ。仙台大学から19年ドラフトの育成枠で入団し、2年目の21年に支配下登録。22年のシーズン中に左精巣がんの疑いで腫瘍摘出手術を行ったが、その後はメキメキと実力を伸ばしている。今年は16試合登板で8勝3敗、防御率1.63をマーク。5月中旬からは負けなしの6連勝で、モイネロ、有原航平という左右の両エースに引けを取らない安定感を誇る。大関は23年オフの契約更改の際、将来のメジャー挑戦希望を明かしたことが報じられている。

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