「広島人にとってカープは終戦からの復興シンボルで希望だった。経営難に陥った時は市民が樽募金で支えた。そういった人々が高齢化し、球場に足を運ぶ年代も変化した。若者にとって野球は娯楽の1つに過ぎず、面白くなければ足が遠のくのも当然」(カープ関係者)

 時代の変化も大きい。多種多様なエンタメが溢れる中、野球のみに特化した興行では観客を喜ばせにくくなった。各球団がイニング間イベントや来場者プレゼントを増やすのもそのためだ。

「カープは比較的、野球に特化した興行をしている。『野球で素晴らしいプレーを見せるのが最大のサービス』という考え方が残っているのだろう。勝てない時に集客に苦戦するのは仕方がない」(スポーツマーケティング会社関係者)

 DeNA、ヤクルトロッテ等はチームが低迷しても集客はそこまで落ちない。連日のようにイベントを開催、花火を打ち上げ、イニング間には各種催しを組み込む。試合後もグラウンドを開放するなどして、来場者を飽きさせないようにしている。

「試合結果は予想できないが、球場を楽しめるようにすることはできる。結果的に飲食やグッズ購入で、観客はお金も落としてくれる。そういった部分では工夫できる余地が残っている」(カープ関係者)

 勝敗を争うスポーツとはいえ、ビジネス面は無視できない。マツダスタジアムの昨今の不入り原因は明白で、「対応策をしっかり考えないといけない」(カープ関係者)と付け加える。

「例えば、ロッテは『楽しめる場所の提供』へ潔く全振りしている。『BLACK SUMMER WEEK 2025』と名付け、多くのゲストを呼び、多種多様な飲食・グッズ展開を行う。チームの勝敗関係なしに来場者が喜んで家路につけるようにする。野球をモチーフにしたテーマパーク化とも言える」(スポーツマーケティング会社関係者)

 連日、各種媒体やSNSを通じて告知活動を徹底。ZOZOマリン周辺にはDJが流す音楽がかかり、野外フェスと見間違えるほど。「『BLACK SUMMER WEEK 2025』はサマーソニックの前後夜祭(笑)」と言う人がいるのも理解できる。

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