
カープ戦に空席が目立つのは、広島の人が見捨てたからではない。この状況はある意味で健全であり、何より球団には今後への打開策も残っているのが強みだ。
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振り向けば最下位が迫っている。オールスターを挟み7連敗となった7月30日の阪神戦(甲子園)では借金11に到達。対照的に8連勝と好調なヤクルトに3.5ゲーム差まで迫られた。
「攻撃陣はそれなりに頑張っている。リーグ3位のチーム打率.240は、阪神.245、巨人.242と比べても低くない。阪神の321得点は抜けているが、それに次ぐ271得点も悪くない。何よりもリーグ5位の投手防御率2.90の改善が急務だろう(成績は7月30日時点)」(在京球団スカウト)
野手ではオールスターにも出場した新外国人サンドロ・ファビアンは、“当たり”と言える。末包昇大も中軸を任されるほどに成長。小園海斗や坂倉省吾なども、「それなり」に結果を残している。
「投打のバランスが噛み合わず勝ちにつながらない。何よりも森下暢仁の5勝11敗は考えられない成績。大瀬良大地、床田寛樹も負け越すなど、先発投手陣は苦しい状態でリリーフ陣の負担も増えるばかり」(在京球団スカウト)
昨年の悪夢を再び見ているようだ。8月終了時には首位だったが、9月に入ると5勝20敗と大失速。最終的に4位で終わり、CS進出も逃した。その間、本拠地・マツダスタジアムは空席が目立つようになり、かつての熱狂が嘘のような風景となった。
「昨年9月のような風景。今季は歴史的な酷暑、いきなりの雨もあった。しかし一番はチームが低迷していることが大きい。広島ファンは熱狂的だが、『不甲斐ない戦いをしている時は球場へ足を運ばない』というポリシーを持っている人も多い」(カープOB)
“カープ女子”登場などを含め、超人気球団となったのは2016-18年の3連覇前後から。スタジアム開場の2009年はご祝儀的に満員が続いたが、それ以後の数年はチーム低迷もあって空席が目立つ時期もあった。