現役最後のシーズンへ『愛の賛歌』を披露した坂本花織(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
現役最後のシーズンへ『愛の賛歌』を披露した坂本花織(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
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 梅雨明け前の新横浜で、2026年ミラノ・コルティナ五輪を目指すスケーター達が、思いのこもったプログラムを披露した。

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「Dreams on Ice~フィギュアスケート日本代表エキシビション~」は例年6月末から開催されるアイスショーで、今年も6月27日、KOSE新横浜スケートセンターで開幕した。7月1日には新シーズンが始まるというタイミングで、日本代表の選手達が新プログラムを滑る。特に五輪シーズンである今季は、どのスケーターもとっておきの曲を選んで臨んだ。ショー後半から、男女シングルの五輪代表候補として有力な選手達が登場。女子は、松生理乃(20)、樋口新葉(24)、千葉百音(20)、坂本花織(25)が滑った。

 松生は、昨季のフリーをアレンジした新ショートプログラム『Lux Aeterna』(ローリー・ニコル氏振付)を披露。2020年全日本ジュニア選手権で優勝した松生は、同年の全日本選手権でも4位に入り、期待の若手として注目された。しかし、2022年北京五輪代表選考会だった2021年全日本選手権では実力を出し切れず7位で、五輪出場はならなかった。

 その後体調不良などで苦しんだ時期を経て、昨季は復調。シーズン前半のグランプリシリーズ上位6人が出場するファイナルに進出、全日本選手権では5位に入り、四大陸選手権代表にも選ばれた。この日も持ち味である氷に吸いつくようなスケーティングで観客を魅了した松生は、二度目の五輪シーズンを迎える。

 ショートプログラムに和風の曲『さくらさくら/Sakura』(ギヨーム・シゼロン氏振付)を選んだ千葉は、新たな魅力をみせた。持ち前の伸びやかなスケーティングで魅了しつつ、日本舞踊とコンテンポラリーの動きが入り混じる振付を踊りこなした。

 ジュニアスケーターとして出場した2023年四大陸選手権で3位に入り頭角を現した千葉は、2023-24シーズンにシニア転向。そのシーズン前半は体調不良のため力を出し切れなかったものの、運動誘発性ぜんそくと判明し治療を開始してからは調子が上向いた。2024年四大陸選手権では優勝、同年世界選手権では7位と結果を残す。そして昨季はグランプリファイナルで銀メダル、世界選手権では銅メダルを獲得し、世界トップクラスのスケーターになった。ひたむきに、生真面目に進み続けてきた千葉は、初の五輪出場を目指す。

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