男子は友野一希(27)、壷井達也(22)、佐藤駿(21)、鍵山優真(22)が新プログラムを披露した。
ベテランの友野は、“氷上のエンターテイナー”の本領を発揮するダンサブルなショートプログラム『That’s It(I’m Crazy)』(シェイ=リーン・ボーン氏振付)を滑った。今季初めて挑戦する片手側転もみせ、観客を沸かせた。
友野は踊り心だけではなく、大一番での勝負強さも持つ。3回出場した世界選手権でも、5位(2018年)・6位(2022年)・6位(2023年)と結果を残してきた。昨季の全日本選手権では5位、代表に選ばれた四大陸選手権では4位だった。男子シングルの日本スケート連盟強化選手の中では最年長だが常に向上心を忘れない友野は、決意を持って初の五輪出場を目指す。
壷井は、YOSHIKIの壮大な名曲『Anniversary』を使うショート(マッシモ・スカリ氏振付)を披露した。強みである滑らかなスケーティングが映え、勝負のシーズンに自らの長所を生かすプログラムを用意した印象だ。
神戸大学に在籍する文武両道のスケーターである壷井だが、五輪シーズンの今季は大学を休学してスケートに集中する。昨季はグランプリシリーズNHK杯、全日本選手権で3位と躍進し、世界選手権に出場。五輪代表枠がかかっていた世界選手権では特有の緊張感に苦しみ、21位という結果だった。大舞台での苦い経験を糧に、覚悟を持って五輪シーズンに臨む。
佐藤は、フリー『火の鳥』(ギヨーム・シゼロン氏振付)を滑った。五輪シーズンにふさわしい、王道の名曲だ。2014年ソチ五輪フリーで町田樹さんが滑った曲でもあり、佐藤はその演技を参考にしていると明かした。
卓越したジャンプの才能を持つ佐藤は、大技の4回転ルッツを武器に、2019年ジュニアグランプリファイナルで金メダルを獲得している。2020-21シーズンにシニアに上がった当初は怪我に苦しんだが、徐々に実力を発揮。四大陸選手権では2023年3位・24年2位と2年連続で表彰台に乗った。
昨季はグランプリファイナルで銅メダルを獲得し、遂に世界の大舞台で表彰台に立った。しかし優勝を狙って臨んだ全日本選手権では、不本意な演技になり7位。だが五輪の出場枠がかかった世界選手権では、力強い演技をみせて6位と健闘した。
「昨シーズンは本当に波のあるシーズンだった」と佐藤自身も振り返る。ミラノ五輪代表選考会となる全日本選手権では「今シーズン、同じ失敗をしないように」と力を込めた。
「練習から自信があるジャンプを跳んでいければ同じことにはならないと思うので、そこをまずは目標として、頑張っていきたい」(佐藤)