「僕がプロに入った時は、ファームでも一軍でも試合後にするのが当たり前やったんです。試合後は(打席での)感覚を一番覚えていると思うし、良かった日も悪かった日もいろいろ感じることがある。打てなかったら何がダメだったのかを振り返って『あの時の球はこういう意識でいってたな』とか、思い出しながらやってます」
宮本が奈良学園大からドラフト6位でヤクルトに入団した2018年、当時の石井琢朗打撃コーチ(現DeNA野手コーチ)らによって若手に課された試合後の素振りを「自己満(足)みたいなトコもあるんですけど、何か1つずっと続けることって大事かなって思って」と、今も継続している。
「ヒーローになった時だけはできない」と言いながらも、そこはチームの誰もが認める「練習の虫」。さすがにベンチには戻らなかったが、まだまだ続く戦いを見据え「(クラブハウスの)トレーニングルームでちょっと(バットを)振って」から家路に就いたという。
宮本の決勝打で接戦を制し、勢いに乗っていきたいヤクルトだったが、続く18日は4回まで好投を続けていた45歳の大ベテラン、石川雅規が守備の乱れをきっかけにDeNA打線に捕まり、2対10の大敗。4月下旬から数えて8度目の連勝への挑戦に失敗し、これで再び借金9となってしまった。
「来週(20日から)はビジターがずっと続くんでね。なかなか簡単にはいかないでしょうけど、移動もあって大変ですけどね、しっかり鍛え直しながら戦うしかないと思います」
18日の試合後、髙津監督がそう語ったようにヤクルトは今週、本拠地の神宮を離れてマツダスタジアムで広島、東京ドームでは巨人を相手にビジター6連戦を行う。マツダスタジアムは昨年2勝10敗、一昨年1勝11敗1分と大きく負け越している鬼門中の鬼門であり、東京ドームでも今年は開幕3連敗を喫している。厳しい戦いが予想されるが、選手たちは1人一人が求められた役割を果たしていくしかないと前を向く。なんとか踏みとどまることはできるか──。
(文・菊田康彦)
菊田康彦/1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。
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