高津監督の期待も大きい30歳の宮本はチームを救う“切り札”となるか(写真提供・日刊スポーツ)
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 東京ヤクルトスワローズにとって、負ければ今季初めて借金が2ケタとなる5月17日のDeNA戦(神宮)。試合を決めたのは“伏兵”のひと振りだった。

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「得点圏になったんで『いい場面だな』と。『ここで打ちたいな』って、気持ちをしっかり入れて振りに行きました」

 試合後のヒーローインタビューでそう言って笑みを浮かべたのは、プロ8年目の宮本丈(みやもと・たけし、30歳)。6対6の同点で迎えた8回裏、DeNAの4番手・宮城滝太に対して1死一塁の場面で代打に起用されると、2球目に一塁走者が盗塁に成功。「得点圏になった」ところでインサイドのストレートを振り抜き、ライト線を抜ける決勝のタイムリーツーベースとした。

 宮本はプロ入りから昨年までの7年間でレギュラーとして出場したシーズンこそないものの、内野手登録ながら外野も守り、代打、代走、守備固めとあらゆる役割をこなしてきたバイプレーヤーである。今季は昨年のセ・リーグ本塁打王&打点王の村上宗隆、同最多安打の長岡秀樹といった絶対的なレギュラーが故障で不在の中、前日まで21試合に出場してスタメンは1度だけ。「左の代打」が主な役割になっていた。

「僕も30(歳)になって、与えられているところ(役割)がハッキリしてきている。今年は代打で出ることが多いですし、去年は代打でヒットを1本も打てなかったんで、勝負強い打撃を取り戻したいっていうのがあって。1打席をモノにできるっていうのが僕の強みかなっていうのはあるんで、そういうところをアピールしていきたいなと思ってます」

 チームがセ・リーグ優勝を果たし、日本一まで上りつめた2021年には「代打の神様」と呼ばれた川端慎吾の陰に隠れがちではあったが、宮本もレギュラーシーズンで46回代打に起用されて打率.313、出塁率.452の好成績を残した。ところが昨年は23回の起用で21打数ノーヒット(犠打2)。今年は前日まで18回の代打起用で打率.250(12打数3安打)ながら、6つの四球を選んで出塁率は.500に達していた。

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