
国内でのビジネスに”東大卒ネットワーク”
国内でビジネスをする上で見逃せないのが、東大出身者のネットワークだ。独自のビジネスを開拓してきたように見える龍崎さんも、その恩恵にあずかってきた一人だという。
「じつは起業する際も、東大OBの方に親身に相談に乗ってもらい大変有効な助言をいただきました。また、大学時代に知り合ったご縁を通じて、現在事業を一緒に支えてくださっている方々もいらっしゃいます。そうした優秀な方々に出会えたのは東大に進学したからこそ、と思っています」
「東大卒」のブランドから得られる社会的信頼は、経営者という立場からも感じられるという。
「信用が大切な事業をしておりますので、金融機関や企業との取引においても、自社の財務状況だけでなく、経営者の資質が『与信』の一部としてはかられます。その際に、私が東大卒であることが多少はポジティブに作用しているように感じています。そういう意味では、日本国内でビジネスをしたいと考えている人で東大に合格する学力があるのであれば、他の大学に行くよりは東大に行ったほうがお得かなとは思います」
東大合格者の女子比率2割超えられず
東大には積年の課題もある。
合格者の女子比率が2割を超えられない「2割の壁」だ。この要因について龍崎さんは、東大側よりもむしろ地方の高校や女子生徒の意識がネックになっている可能性があると指摘する。
「女性が東大に行かないのは、多くの女性にとって東大に入るメリットがないからだと思います。より高いキャリア形成やアカデミックな学びを深めたい人にはぜひ東大をおすすめしたいと思いますが、そういう価値観を持たない人が東大に行くメリットを感じないのも不思議ではありません」
高校の教師に「女子を東大へ」のマインドなし
龍崎さんが経験したのは「地方の高校の側に『女子を東大に送り出そう』というマインドがないバイアス」が存在する現実だ。
大学1年の時、東大の女子学生を増やすキャンペーン活動の一環として、龍崎さんは京都の母校にかつての担任を訪ねて講演を持ち掛けたところ、「東大で、しかも女子というのは全然ニーズがないですね」と門前払いされたという。
「こういうことが日本じゅうの地方の高校にあって、進路指導の先生たちが女子の東大進学を無意識にブロックしている面もあるのではないか、と思っています」
良い意味でも悪い意味でも、東大は日本社会の内実を映すシンボル的存在であり続けるのだろう。
(構成/編集部・渡辺 豪)
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