育成出身4年目の岩田幸宏(27歳)は安打を重ね一番定着を果たしつつある。同じく育成出身5年目の赤羽由紘(24歳)は複数ポジションをこなす欠かせない存在になっている。2年目の伊藤琉偉(22歳)は4月20日の巨人戦でサヨナラ打。高卒5年目の内山壮真(22歳)はプロ初の四番起用された5月9日の巨人戦(神宮)で本塁打を記録した(年齢は5月11日時点)。

「大事なのは試合に出続けることで、成功と失敗の両方の経験を積み重ねること」(ヤクルトOB)と強調する。結果に一喜一憂することなく、腰を据えて長いスパンで選手育成を行なう必要がある。

「伊藤がサヨナラ安打を放った後もスタメン起用されないことに批判の声が多数聞こえた。しかし体ができておらず、スイングもまだ緩い選手。ミート力を活かすためにも、本来は二軍でじっくり育てるべき。目先の勝利に拘ることで育成方法を間違えてはいけない」(在京球団編成担当者)

 伊藤は今季二軍では14試合出場、52打数11安打、打率.212の成績(5月11日時点)。故障者が出なければ一軍昇格できる数字ではない。「サヨナラ打の乗っている選手を使うべき」の声も理解できるが、現時点での技量を考えればファーストチョイスにならないことも理解できる。

「グラウンド外の部分でも、チーム全体が変わるべきタイミング」(ヤクルトOB)とも付け加えてくれる。

「例えば、故障者やチーム方針に関する最低限の情報を出すことで状況を多少は理解できる。『ファミリー球団』を掲げるなら、戦力上で不利になること以外ならファミリー間の情報共有も必要ではないか」(在京テレビ局スポーツ担当者)

 選手が登録抹消のたびに『コンディション不良』とアナウンスされるだけでは誰もが疑心暗鬼になる。細かな部分までは必要ないが、ある程度の情報を出すことは結束力を増すことになりファンサービスにも繋がるはずだ。

「生え抜きだけにこだわらず、トレード、FAにも積極的に参入すべき。決してマネーゲームをしろというわけではない。適切な評価をして誠意を持って交渉すれば、茂木栄五郎のような素晴らしい選手も獲得できる」(ヤクルトOB)

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