FA加入の茂木は2年で年俸7000万円プラス出来高(金額は推定)と決して高額契約ではないが、勝負強い打撃でチームに貢献している。他球団の余剰選手を発掘しつつ若手を育成する。「やり方次第ではそこまで大負けしないはず」(ヤクルトOB)という意見にも納得できる。

「2027年からは茨城県守谷のファーム施設も稼働するので、若手育成に本腰を入れるのに最適な時期。ファン、関係者、各種ステークホルダーにとっては『目先の試合に1つでも多く勝って欲しい』気持ちもわかる。しかし今こそファミリーが1つになり、覚悟を決める時かもしれない」(在京テレビ局スポーツ担当者)

「弱いと言われても、何年かに1度優勝する不思議なチーム」がヤクルトの魅力だった。しかし時代は変わりファンの求めるものも変化しており、「勝利」も欠かせないものの1つになっている。

 また国内景気が悪くなる一方の中、ファーム施設への投資は球団にとって大きな勝負とも言える。プロジェクトを成功させ球団の未来に繋げるためにも、今こそ明確なビジョン設定も必要だろう。

 詳細は未だ不明ではあるが、新神宮球場建設もまもなく始まる。最新式の本拠地に移るその時、ヤクルトが真の強者に生まれ変わった姿を見せて欲しい。それこそが誰もが望む本当の、「捲土重来」だと思う。

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