
故障者続出で苦戦続きのヤクルトだが、野手を中心に可能性ある若手も出始めており、数年先を考えた場合にも光が差し込み始めている。「ピンチはチャンス」、中長期的スパンに立ったチーム再編成に着手する絶好の機会とも言える。
ヤクルトにとって悪いことが次々と重なるシーズンだ。開幕前から野手のレギュラークラスに故障者が相次ぎ、ゴールデンウィーク前にリーグ最下位へ転落すると定位置のようになってしまった。
「キャンプ時点では他球団にヒケは取らない戦力だと感じた。主力選手が普段通りにプレーすれば十分に戦えると思った。まさかこれだけの故障者が立て続けに出るとは……」(在京テレビ局スポーツ担当者)
野手では、主砲・村上宗隆が3月中旬に上半身不調で離脱、4月17日に復帰するも再び脇腹を痛めた。4月9日には塩見泰隆が3月に痛めた左前十字靱帯の手術。4月29日には長岡秀樹の右膝後十字じん帯損傷が判明。丸山和郁は4月21日に右有鉤骨骨片摘出術を受けた。
投手でも、4月12日に左腕エースと期待される高橋奎二が上半身のコンディション不良で抹消。5月8日には開幕からブルペンを守り続けたルーキー荘司宏太までも抹消された。また、完全復活を期待され開幕投手を務めた奥川恭伸も故障ではないが不調で一軍を離れている。
「やはり野手の村上、塩見、長岡が揃っていなくなったのは痛手。2021-22年にリーグ連覇した時の中心選手で、高津臣吾監督は3選手を軸に考えていたはず。攻撃陣のレベルが下がり、投手陣の負担が激増する悪循環にもなっている」(在京球団編成担当者)
2022年三冠王の村上は来季以降のメジャー挑戦を明言、ヤクルト最終年の大爆発が期待されていた。走攻守に優れた塩見にはリードオフマンへの再定着。昨季最多安打のタイトルを獲得した長岡にもさらなる飛躍が望まれていたのだが……。
「村上はメジャー挑戦、塩見や長岡の怪我は重症で以前のような活躍は見込めない可能性もある。もう一人の主軸・山田哲人も全盛期と別人のような凋落ぶりなので、早急に世代交代を進める必要がある。出場機会を得て結果を残しつつある選手はいるので、腹を括る時期かもしれない」(ヤクルトOB)