犬や、つまりペットを、人生で一番大切にしている人がいます。

「推し」を作って、「推し」に会うために、仕事を頑張っている人がいます。(ライブとか舞台に出ている「推し」に会うということですね)

 好きな作家や画家、アーティストを追いかけている人もいます。

 生き物や人間でなくてもいいでしょう。

 陶器でもいいし、仏像でもいいし、美術品でもいいし、楽器でもいいし、園芸でもいいし、旅先で出会う風景でもいいと思います。

 つまりは、「愛された経験がない」ことを嘆くより、「愛する経験」を始めてみませんか、ということです。

 ゆうこさんは62歳ですから、女性の平均寿命の87歳までだと、まだ25年間も、何かに夢中になれる時間があるのです。

 何かに熱中しながら生きていく経験は、きっと、ゆうこさんの気持ちを豊かにすると思います。

 何かをとても大切にしながら毎日を生きていけば、きっと、「大切にされたい」という気持ちに振り回されることも減っていくのではないかと思うのです。

 ゆうこさん。「大切にするもの」を見つけてみませんか。なんでもいいのです。最初は、軽い気持ちでいいと思います。ちょっと大切にしてみて、合わないなと思ったらすぐに変えてみる。

 そうやって、あーでもない、こーでもないと試行錯誤しながら探す時間もきっと楽しいと、僕は思います。

こちらの記事もおすすめ 職場で、学歴や職歴のコンプレックスを抱いているという49歳女性に、鴻上尚史が伝えた「本当に賢い人が持つ力」とは
[AERA最新号はこちら]