マカロンさんは、ずっと母親に「依存」してきたので、それ以外の人間関係の作り方を経験することは、これからだと思います。

 人間関係では、「依存」と「信頼」は違います。「依存」とは、自分をなくして相手に寄り掛かることです。「信頼」は、自分を持ちながら、相手を頼りにすることです。

「依存」したのに相手が応えてくれないと絶望しますが、「信頼」したのに相手が応えてくれないと、混乱しますが絶望まではしません。自分がちゃんとあるからです。

 これから、マカロンさんは、恋人と「信頼」と「依存」の違いを知っていくのだと思います。

 ここで自分の本を持ち出すのは気が引けますが、もし時間があったら、『親の期待に応えなくていい』(2021年、小学館)を読んでみてくれませんか。

 この本には、「親を大切にすること」と「親の言う通りにすること」は違うんだということを丁寧に書いています。

 マカロンさん。最後にもう一度言いますね。

 マカロンさんに取って一番大切なのは、「母親の人生」ですか? それとも「自分の人生」ですか?

 もし、「母親の人生」だとしたら、それはつまり、残りの人生をすべて「母親の人生」を満足させるために使うとこいうことになります。

 僕が勝手に言えば、マカロンさんにとって大切な順番は、「自分の人生」「恋人の人生」「母親の人生」ではないかと思います。

 そして、それは決して悪いことではないのです。子供はやがて、自分の幸せに向かって歩き始める。当たり前のことです。母親に対して悪いなんていっさい思う必要はないのです。「母親の人生」に責任を持つのは母親だけです。

 そして、マカロンさんの人生に責任を持つのは、マカロンさんだけなのです。

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