コミカルな殺し屋も秘密を抱えた女子生徒も「本当にそこにいる人」にさせる、その演技から目が離せない(撮影:山本倫子/styling:金田健志/costume:AKANE UTSUNOMIYA)
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 俳優、高石あかり。まさに旬の俳優だ。25年秋の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK)でヒロインに選ばれた高石あかりの活躍が目覚ましい。「ベイビーわるきゅーれ」のコミカルな殺し屋役で一躍人気となり、4月11日に公開される「ゴーストキラー」で初単独主演。とにかく「演技がうまい」とみなが口をそろえるが、高石も演じることが好きでたまらない。高石の足跡をたどった。

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「初めて見たときから『なんでこんなにお芝居のうまい人がいるんだろう!?』って思ったんです」

 2024年師走の東京・渋谷。大型書店の一角で高石(たかいし)あかり(22)が限定生産したアートカレンダーの手渡しイベントが行われている。列に並ぶファンの年齢層は幅広く、50代とおぼしき男性から母親に連れられた小学生の女の子、高石の出世作「ベイビーわるきゅーれ(=ベビわる)」に登場する衣装を身につけたり、グッズを手にしている人も多い。

 高石は一人一人と笑顔で真摯に言葉を交わしている。「(ベビわるの)あのセリフを言ってください!」と請われ「そんな約束、私はしないよ」と決めゼリフで応じる高石を見ながら、不思議な感慨が押し寄せた。物語中の人物を「本当にいる」ように思わせる、そんな高石の演技が人々を引き寄せ、目の前で映画と現実の世界をつなげている──。そんななか福岡から来たという21歳の女性ファンが目を輝かせて言ってくれたのが冒頭の言葉だ。筆者が「ですよねえ!」と前のめりにうなずいたことは言うまでもない。やっぱり誰もが思うんだ!「この人はうまい! すごい!」と。

 高石の存在が世に知られ始めたのはやはり21年公開の映画「ベビわる」だろう。監督・阪元裕吾(29)が生み出した殺し屋女子コンビによるゆる~い日常とキレキレのアクション活劇。高石演じる快活な杉本ちさとと、伊澤彩織(31)演じるコミュ障の深川まひろ、2人のやりとりの絶妙な空気感やテンポは大きな話題を呼び、その後2本の続編とテレビシリーズへと発展する。

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 さらに昨年秋、高石の名は一躍ニュースに躍り出た。25年秋放送予定の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK)のヒロインに選ばれたのだ。そして今年は映画「遺書、公開。」にテレビドラマ「御上先生」「アポロの歌」と出演作が続き、4月11日には初の単独主演映画「ゴーストキラー」が公開される。

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