「性差は刷り込みが大きいと思う」

――灘の算数は難しい。だからといって女子に難しい算数は向かないことにはならないと、上田さんは本の中で書かれています。数学、算数は男子が得意、女子は苦手といわれるような「性差」についてのお考えをお願いします。

 性差は刷り込みが大きいと思います。数学は技術で解ける問題はいくらでもあり、その技術さえ身につけたら、性別は関係ないでしょう。わたしは高校数学の勉強のゴールは、丸暗記ではなく、解法のポイントをたくさん持ち、どんな問題にも対応できる力を身につけることであり、そこに男子、女子の差は関係ないと思います。ただ、中学受験の段階で、灘対策として難問に対する訓練が男子のほうが多かった可能性はあります。こうした訓練の差によって、算数の成績で男女差がつくられてしまい、それを数学になっても潜在的に引きずっている、ということはあるかもしれません。

――東大を志望するようになったきっかけはなんだったのでしょうか。

 高校1年生の冬、予防接種の後、病院を出た瞬間いきなり倒れてしまったことがあって。怖いと同時に、自分の体で起こっていることなのに何が起こっているかわからないことが悔しく、医学部に入って体の仕組みについて勉強したいと思いました。医学部の中でも東大を志望したのは、鉄緑会に入ったことがきっかけでした。周りに理三志望の人が多く影響されたのと、東大は総合大学であり、1、2年の間は教養学部で医学以外も学ぶことができることを魅力的に感じました。

――中学受験の算数、大学受験の数学には違いはありましたか。

 中学受験のとき算数の難問をどういうシステムで解いているのかは正直わかりませんでした。高校になると各単元をしっかり学びそのシステムを理解し技術を習得すれば、解ける問題も増えていきます。やみくもに解くというよりは、数学という技術を使い自分で攻略している感じでした。こうしたことを繰り返すことによって、確実に解ける数学の問題が増えていっている感覚はありました。

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