
2025年度の東大合格者数の高校ランキングは、合格者数3000人超とほぼすべての高校が出そろった(AERA、サンデー毎日、大学通信の合同調査)。
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3月19日午後2時時点での判明分をみると、1位開成(東京)149人、2位筑波大附駒場(東京)117人、3位聖光学院(神奈川)95人、4位麻布(東京)82人、5位日比谷(東京)81人、6位灘(兵庫)77人となっている。
今年は日比谷(東京)や、74人で8位に入った横浜翠嵐(神奈川)が昨年から合格者数を飛躍的に増やし、公立校の躍進が印象的だった。そして、さらに注目を集めたのが筑波大附駒場。前年より合格者が27人も増え2位にランクインした。三桁の合格者数を記録するのは19年以来のことだ。教育ジャーナリストの神戸悟さんはこう話す。
「117人の合格者のうち、現役合格は92人。卒業生が156人ですから、6割近い現役合格率は驚異的です」
昨年は90人が合格し、うち69人が現役合格。卒業生は163人で、現役合格率は4割強だった。
「上位の常連校に共通して言えることですが、教員から生徒へ一方通行で教えるのではなく、考えさせる思考力を養成するようなインタラクティブな教育を徹底しています。主体的に取り組む姿勢や思考力を見る観点別評価が前提で、期末テストを廃止した高校もありますし、いわゆるペーパーテストだけで評価はされなくなっています」
東大含め難関大の入試問題は知識があるだけでは解けない。「例えば東大の国語問題では、ものすごく狭い回答欄に言葉を凝縮して書かなければならない。そもそもの言語能力に加え、思考を言語化する能力も求められます。詰め込んだ知識だけでは突破できないのです。だからこそ思考力を育てる教育が重要視されています」
ランキング上位校を見ると、今年は関東圏の高校が合格者数を増加、あるいはほぼ維持している一方で、灘(兵庫)、西大和学園(奈良)、東海(愛知)、東大寺学園(奈良)など数字を大きく減らしているのが目立つ。
「合格者の“東高西低”は第一段階選抜ラインの高さでしょう。大学入学共通テストの平均点が高く、ボーダーラインが引き上げられたことで、関西の学生はリスクを取るよりも京大や大阪大に志望を切り替えたということは考えられます」
今年、東大に合格者を出した高校数は405校。昨年の459校から大きく減らしているが、これもボーダーライン引き上げによる影響があると神戸さんは分析する。
「上位10校に入るような高校なら教員も経験豊富なので、共通テストの平均点が上がっても対応できると思いますが、例年1人、2人程度の東大合格者を出す高校からすれば、生徒だけでなく教員も臆してしまうということはあり得ると思います。無理をさせて挑戦しろとは言えませんからね。今年は志願者数も千人ほど減少していますし、そういった影響があったのではないでしょうか」
そんな中、ランキングの“新興勢力”として2校を紹介したい。