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昨年世界一に輝いたドジャースの春季キャンプが始まり、大谷翔平に負けない注目度を誇っているのが、ロッテからポスティングシステムを利用して移籍した佐々木朗希だ。キャンプイン初日にブルペンで落差の鋭い高速スプリットを投げた際には感嘆の声が上がり、米国のメディアが「魔球」と形容。デーブ・ロバーツ監督は「調整が順調にいけば」という前提はあるものの、日本の東京ドームで行われるカブスとの開幕シリーズの2戦目(3月19日)に先発させる方針を明かした。
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23歳の佐々木は移籍の際にメジャーリーグの「25歳ルール」が適用された。25歳未満の選手はマイナー契約しか結べず、契約金や年俸も制限される。このルールは資金力のある球団が中南米などの若手の有望選手を高額契約金で青田買いするのを防ぎ、戦力均衡を維持する目的があるが、米国に駐在する通信員は「実質的には機能していない」と指摘する。
「佐々木はマイナー契約のため、メジャーのキャンプに『招待選手』という形で参加していますが、コンディションに問題なく順調に仕上げれば、開幕前までにメジャー契約に切り替わるでしょう。契約金に制限があっても、選手はワールドチャンピオンを狙えるチームや育成環境が整ったチームに移籍したいと考えるのが自然です。ドジャースやヤンキース、メッツにいきたい選手が多いのが現実で、特にドジャースは日本人選手に絶大な人気を誇っています。『25歳ルール』は戦力均衡という目的を果たせていません」
大谷も「25歳ルール」が適用される23歳の時にポスティングシステムでエンゼルスとマイナー契約をし、春季キャンプには「招待選手」として参加したが、開幕前にメジャー契約に切り替わって、移籍1年目からメジャーの舞台で活躍した。実力がある選手ならば、マイナー契約で移籍しても、実際にはマイナーでプレーすることなくメジャーの舞台に立てるのだから、確かにルールが機能しているとはいいがたい。契約金が抑えられるため、ポスティングで送り出す日本の球団にとっては、受け取る譲渡金が減るという不利益も生じることになる。