ふるさと副業・兼業の成否の明暗を分けるのは何か。副業人材を受け入れたある地域企業の経営者が、G-netの南田さんに「スキルや経験を持つ人が来てくれて本当に助かった」と話した後、こんな感慨を漏らしたという。
「でもそれ以上に大きかったのは、地域の人口が減り産業も衰退していく中で、『それ一緒にやりましょう』と言ってくれる仲間に出会えたこと。『新しい取り組みに挑戦しよう』という意識を呼び戻してくれたことです」
「共感と熱量」強調
南田さんは大事なのは「共感と熱量」だと強調する。
「スキルや経験よりも大事なのは地域の取り組みに共感し、自分もコミットしたいという熱量です」
もう一つ、大事な要素は「越境経験から学ぶ力」だという。これまでの思考や行動パターンを時には捨ててでも、地域の人の話にしっかり耳を傾け、課題の背景や文化を理解し、地域の人たちと一緒に取り組む姿勢や考え方をどれだけ持てるか。とりわけ社会でキャリアを積んだ中高年男性に多いのは、上から目線で「教えてあげよう」というタイプの人。地域の課題と真剣に向き合う地元の人たちは、何が大事で、自分たちには何が足りないかを十分自覚している。そういう人に向かって、ああしたらいい、こうしたらいい、と提案するだけでは何の解決にもつながらない。
「地元の人からすれば、それは分かっている。でも人手が足りず進められないから困っている。そこに課題感があるんですよ、と言いたいわけです。求めているのは『一緒に手を動かして実働してくれる人』なんです」(南田さん)
南田さんは、同じ専門性を持つ人でも「プロフェッショナルな人」と「プロフェッショナルふうな人」に分かれると指摘する。本物のプロは課題解決の戦略を提案した上で、どうすれば実現できるかに尽力する。一方、「ふう」な人は課題解決の戦略や提案を「出すこと」にしか意識が向かず、自分の仕事はそれで終わりと考えがちだという。