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「いろんな発想が次々出てきて滅茶苦茶面白い。貴重な体験をさせてもらっています」
こう話すのは、社内の研修制度を利用して宮城県気仙沼市の水産食品メーカーで無償の支援活動をしているサントリーの清水大輔さん(54)だ。清水さんがこのメーカーの支援を決めたのは、2回にわたって計14年間、同エリアのサントリーの営業拠点での勤務経験があるからだ。
「愛着があり、親しい人たちがいる第二のふるさとのような土地で貢献できればと。東日本大震災で被災し、苦労を重ねている地元企業の力になりたいとも考えました」
豊富な営業経験生かす
都内在住の清水さんは昨夏以降、復興支援の需要が減少傾向にある水産物の販売戦略を立て直す半年間のプログラムに参加。リモートで週2回、チームの検討会議に出席するのに加え、これまでに2回現地を訪れた。豊富な営業経験を生かし、消費者の行動分析や販売ルートの開拓などの戦略構築にチームとともに取り組んでいる。清水さんが意識しているのは地域での持続可能性だ。
「地元でできない案を羅列したペーパーを置いて帰っても全く意味がありません。私が関わらなくなった後も長く活用してもらえる提案を心掛けています」
転職経験はなく、サントリー一筋で働いてきた清水さん。チームで一緒に働く異業種の同世代のプロボノメンバーの思考やスキルも刺激になったという。
「全く新しいメンバーと未知の分野の課題に挑戦する面白さと、課題解決に向けてこれまで自分が身につけた知見の応用が生かせることが分かったのは大きな収穫でした」
清水さんは来年、役職定年を迎える。社外プロジェクトに参加したことで社内での働き方にも意識の変化が生じたという。
「これまでは自分に選択肢はなく、会社に与えられた業務やポストに応じて組織の中で役割を果たす、というスタンスでした。しかし今、社会人になって初めて自分で何がしたいのか考えられるようになりました」
この先、地方創生に関するプロジェクトの社内公募などがあれば、自分から手を挙げたいと考えている。個人としてニーズがあれば副業にもトライしてみたいとも思っている。
「高額な報酬が欲しいというわけではありません。何かのご縁で少しでもお役に立てるのであればやりたいな、という気持ちです」(清水さん)