さらに、おせちとして食べるものとして、さまざまな料理の情報も寄せられました。回答からは地域性の豊かさが伝わってきます。
【北海道】くじら汁、氷頭なます
【東北】アワビの酒蒸し、焼きウニ、柿なます
【関東】湯波の煮物
【近畿】鯛の子の煮物、さごし(サワラの幼魚)のきずし(酢締め)
【中部】昆布巻きにちくわ、ゴボウ、油揚げを細く切り、田作りを入れる
以前から食べ続けているものだと、実は「地域独自」のものであっても、気づかないかもしれませんね。
思い出される「家庭」の風景
アンケートには、「おせち」にまつわる思い出やエピソードを、多くの方から寄せていただきました。
台所に立つ祖母や母親らの背中、正月を待たずに大晦日のうちに食べてしまった、親から子へと受け継がれた味……年末年始を一緒に過ごす家族の様子が想像できるものばかりです。
以下にいくつか紹介します(一部で、誤字脱字を修正したり、読みやすいように句読点を加えたりしています)。
「自分が作る側になり、実家の母がクリスマスが終わるとおせちの下準備にとりかかっていたこと、ガス台が足らず、煉炭火鉢やストーブの上にお鍋が乗り、お豆や昆布巻きのいい香りを思い出すと同時に苦労を実感。母のみんなが美味しいと言ってお重が空になるからと言っていた意味がわかり始めました。17歳の息子は、現代人ですがおせち料理が大好きです」(50代、女性)
「祖母の時代から煮物を作っているので、それを見て母が、それを見て私が毎年年末に作っています」(40代、女性)
「毎年、家族それぞれに仕込む担当が決まっています。結婚しても年末は実家に戻って、担当しているおせちを作っています」(40代、女性)
「割烹を経営する父に教わりながら苦心した想い出は、私の一生の宝物と成りました。残念ながら味を引き継ぐ腕も才覚も私には無かったのですが、いつか自身で再現したいとの想いは忘れずに持ち続けていたいと想っています」(40代、男性)