受け継いでいきたい「おせち」

 この味を、あとの世代にも受け継いでいきたい。家庭でつくるおせちには、そんな思いも込められているようです。
 

「日本のおせち料理を子供に伝えるため、子供が小さい時は寝不足、腰痛に負けず一生懸命つくり、御重箱に詰めました」(60代、女性)

「子供のころは年末に母親が手作りで用意していたが、子供たちが独立後はおせちセットで済ますようになった。母親はもう他界しているが、昔食べたおせち料理を再現したいと思う」(60代、女性)

「26日から材料を集め始め、蔵にあるお重を出し、29日から煮物から作り始め、30日から食べ始め、31日は煮干しと昆布で出汁をとった年越しそばを作り、元旦は初日の出を海に見に行き、鰹節で出汁を取り、白味噌に丸餅1つのお雑煮で、贅沢をせず、仏様に豪華なお供え、2日目から徐々にお雑煮の具を増やし、神様仏様に感謝を伝える。

「幼き頃より年末年始、毎日が忙しく、決まったお正月を過ごし、18から里帰りをしながら、両親も古希と喜寿を超え、あと何回このルーティンが出来るのかと感謝をしながら過ごしています」(40代、女性)

「長いこと実家で使っていた重箱にヒビが入って、最近、漆を塗り直してもらった。このところ多忙でお節を買うことが多いのだが、元気なうちに、小さい頃からの思い出の詰まった重箱に手作りお節を詰めたいと思う」(60代、女性)

「カナダ在住なので日本のように既製品のおせちを買うことができません。こちらで手に入る食材を工夫して、日本のおせち文化を絶やさぬように長年作り続けています」(60代、女性)
 

 会話の花を咲かせながら、食卓を囲む。来年もそんな時間がたくさんあるといいですね。

(AERA dot.編集部)

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