中学受験入試の本番が近づいている。合格を勝ち取るためには、子どもの実力だけでなく、併願校選びも重要だ。AERA 2024年11月18日号より。
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受験スケジュールを決める上で参考になるのは、先輩たちの体験談だ。昨年度に中学受験をした保護者に話を聞いた。
早稲田に入学したAくんは、小4の夏期講習から入塾し、クラス分け試験でトップのクラスに。早くから開成、筑駒を目指しており、母親のSさんは「私も中学受験をしていたので、特別なことではありませんでした。当初はがんばれば行けるだろうと考えていました」
Aくんは週5日スイミングスクールに通っており、塾と合わせてハードな生活を送っていた。さらに、妹の小学校受験が控えていたこともあり、ワーママのSさんにはAくんをしっかりサポートする余裕はない。Aくんの成績は徐々に下がり、特に5年の秋には大きく落ち込んだ。「これはまずいぞ、と。水泳教室をやめて塾一本に絞ることにしました」(Sさん)
それが裏目に出てしまう。モチベーションが下がり、塾のない日は友達と遊んでばかり。個別指導をプラスしたものの、成績は思うように伸びなかったという。「それでも開成に行きたいという本人の希望が変わることはありませんでした」(Sさん)
「押さえ」が不合格
Sさんが本腰を入れてAくんに向き合うことができたのは、12月に妹の小学校受験が終了してから。その時点で開成の合格は厳しい状況だった。もう1カ所個別をプラスし勉強を強化しながら、受験校を検討。浮上したのが、5年生の時に学校見学に行って好印象だった早稲田だ。第1志望は開成、第2志望はSさんの推しで渋谷教育学園幕張(渋幕)、第3志望を早稲田に決め、過去問に取り組んだ。
「1月はまるまる学校を休んで、3つの塾を掛け持ちしているような状況でした」(Sさん)
1月に栄東(さいたま市)の東大クラスでまず合格をゲット。続いて千葉の市川を受験したが、想定外の不合格。渋幕も不合格だったが、自己採点で僅差だったことがわかり、2月2日にリベンジすることになった。
2月1日は、前日まで開成にするか早稲田にするか悩んだ末に早稲田を選択。午後は押さえに、東京都市大付属を受験した。ところが、その日のうちに合格発表があった東京都市大付属がまさかの不合格。AくんもSさんも激しく動揺したという。