Bさんは「広尾学園も魅力だったのですが、過去問が難しくて私に合わなかったのです。平易な問題をまんべんなく取る、開智日本橋の方が実力を発揮できると考えました」と振り返る。塾の先生からは「これだけ志望校をぶれずに決めている生徒もめずらしい」と言われたという。

 模試の結果は第1~3志望のいずれも、毎回ほぼ合格率80%で推移し安泰に見えたが、6年の夏期講習のクラスを決める大切な模試の出来が悪く、偏差値を10以上落としてしまった。その原因として、模試の前、勉強に全く手を付けずセーラームーン全巻を完遂したことが発覚。「さすがに堪忍袋の緒が切れて、一悶着ありました」(母親のMさん)

 そこから遅れを取り戻すために、9月からは3校の過去問を3~4年分あたった。幸い偏差値も元通りに回復。1月は試験の傾向を見るために、同じ学園の開智(さいたま市)を受験。2月1日に開智日本橋、午後は同校の特待生試験を受験し、いずれも合格したため、2日の明治大学付属明治は受けずに受験を終えた。1日は午後の試験まで3時間ほどあったので近くのホテルにデイユースを予約し、リラックスして過ごしたという。

「実は5日に広尾学園のインターナショナルクラスを受けるつもりだったんですが、朝起きたら雪が降っていたので辞めました(笑)」(Bさん)

 Bさんはいま、高2から国際バカロレアクラス(DP)に入ることを目指し、英語を強化中だ。将来は、海外の大学への進学も視野に入れたいという。

 特待生で合格し授業料が免除されたため、「本人の希望があれば、留学の費用にあてようと思っています」(Mさん)

(ライター・柿崎明子)

AERA 2024年11月18日号

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