大谷は球界の歴史を変えた選手だ。エースで4番。高校までは投打の中心として活躍する選手が多いが、プロに入ると投手か野手に専念する。理由は難しくない。投打両方を追いかけて成功した事例がないからだ。大谷が日本ハムで「投打の二刀流」として挑戦する際も懐疑的な見方が多かった。投手として15年に15勝5敗、防御率2.24で最多勝、最優秀防御率、最高勝率(.750)のタイトルを獲得し、翌16年に投手で10勝4敗、防御率1.86、打者で打率.322、22本塁打、67打点の好成績を残して10年ぶりの日本一に導き、常識を覆した。
圧倒的な数字
18年からポスティングシステムでエンゼルスに移籍以降は度重なる故障の影響で投手として思うように稼働できないシーズンが続き、「打者に専念すべき」の声が米国メディアから上がったが、その逆風をはねのけた。21年は9勝、自己最多の46本塁打をマークしてア・リーグのMVPに満票で選出。昨年はMLBで自己最多の15勝、打撃でも34本塁打を記録した。投打の二刀流での活躍は別次元の領域に到達し、MLBで誰もが認めるトップの選手に。今年は初出場したWBCで侍ジャパンを世界一に導き、シーズンでは打率.304、44本塁打で日本選手初の本塁打王を獲得し、投手でも10勝と圧倒的な数字を残した。
前出の球界関係者は、「二度とこんな選手は現れないでしょう」と断言する。