ちなみに私が血糖値を9%ちょっとでコントロールしているのは、日常的に運転をしているから。運転中に低血糖を起こすと怖いので、そのリスクを少しでも下げようとしているのです。
LDLコレステロールは、それが多いと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしてしまうために敵対視されているようで、「悪玉コレステロール」と呼ばれていますが、私は無理に下げなくても良いと思います。
LDLコレステロールは女性ホルモンの材料です。これがあまりにも減ってしまえば、肌つやが悪くなったり、骨粗しょうになりやすくなったりします。免疫細胞の材料でもあります。
LDLコレステロールは高すぎるのも問題ですが、総じて低い人より高めの人の方が免疫機能も高く元気で、ホルモン効果で肌つやもよく、うつにもなりにくい。
諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生も、高齢者には、コレステロール値を下げる薬を出すのを基本的にやめる方向で診ているそうです。
高齢者の体には「足りない」ということの害の方が、より悪い影響を及ぼすのです。
食べ物の種類も増やすなどして、いろんな栄養素を「足す」、数値も下げていくのではなく、上げて結構。糖分も足し、ナトリウムも足し、さらには運動も足し、ホルモンも足す。
「足し算の医療」の方が、特に高齢者は、今より元気になることは間違いない。
今より楽しく生きましょうよ。
わがままな患者になっていい
今の医療は臓器別診断によって行われて「木を見て森を見ず」みたいになっています。
医者の言いなりにならずに、「受ける必要がない検査は受けませんし、飲んで害が大きい薬は飲みません」と主張するのはまったく問題ないと思います。
むしろ、「わがままな患者のススメ」をしたいぐらい。
自分の体のことは自分がよくわかりますし、心だって、自分のものです。
医療に限りませんが、すべて自己決定で進めるということが、本来の自分らしい生き方だと思います。要するにもっともっと、皆さんわがままな患者になっていいのです。
鎌田先生と対談した時、こう言われました。
「和田秀樹的生き方は、日本の医療を変えるかもしれません」と。
医療や介護を受ける時に、「私はこう生きたいから」と自分の人生観をしっかり伝えることができて、医療職や介護職もそれらを受け止めていくようになれば、介護や医療のあり方が変わっていくのではないかということだと私は思っています。
医者の信者になるな
薬を飲むなら自己決定で。「先生にお任せします」ではダメです。
医者ができることは、情報と選択肢の提供までだと私は思っています。
健康診断や人間ドックで使われる「基準値」をすべての人に当てはめて、さらにそれこそが正解というように患者側に求めること自体が異常だと私は思っています。
年をとれば皆、標準とされる数値からずれていきます。まったく自然なことなのです。
正常な数値というのは、皆違います。結局はその人次第なのです。
自分なりの健康でいられる数値というのは、本当はあるはずなのです。血圧は、あるいは血糖値はこのぐらいだったら大丈夫、という数値が。
「自分健康数値」を探しましょう。
それを自分で見つけて、その数値を自身でキープしていくというのが理想だと思います。それこそが、医者に頼らず自分で自分の健康をコントロールする秘訣でもあります。
自分の体の調子を自分で感じ取れる「勘」とでも言いましょうか。そういうセンスを磨き、体の声を聞く習慣をつけるといいと思います。
良い医者の見極め方、医者との付き合い方
第一カ条:医者の言いなりになってはいけない
第二カ条:医者への質問をためらわない
第三カ条:医者に年齢を聞いてみよう
「先生、お年はおいくつでしょうか」
医者の生きる姿は、健康の見本。もしも年齢より若く見えて、表情もいきいきとしていて豊かで、肌つやもよく、目に力もあって、滑舌もよくお元気であれば「あぁこの先生の言うことを信じていたら、私も健康になれるかもしれない」とおのずと思えるもの。
第四カ条:すぐに薬を出す・5種類以上の薬を出す医者には注意する
第五カ条:「とりあえず検査しましょう」と言う医者にも注意する
第六カ条:往診や生活指導など、患者に寄り添った医師と付き合おう!
第七カ条:かかりつけ薬剤師・調剤薬局を味方につける
体調に不安を感じた時とか、病気のこととか、薬に関することだけでなく、積極的に相談をしてもいいと私は思います。医者とのコミュニケーションの仲介に、調剤薬局にいるかかりつけの薬剤師に入って貰ってもいいと思います。
「何かあった時にいつでも相談できる」という、かかりつけ薬剤師を決めておくと、すごく安心できると思います。そういう意味でも、調剤薬局を一本化してもいい。薬剤師の中にはプロフェッショナリズムの高い、優秀な方も一定数います。そういう方に出会えるといいですね。