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 もし、あなたが同じ医者から5種類以上の薬を処方されて飲んでいたら、医者を変えた方がいい。それは、複数の薬を飲むことによる副作用があるから。

 精神科医の和田秀樹さんは、「とりあえず検査を」「とりあえず薬を」と言う医者には要注意だと訴えます。では、良い医者をどう見極め、医者とどうやって付き合ではいいのでしょうか。そのヒントになる知識を、和田さんの著書『「せん妄」を知らない医者たち』(幻冬舎新書)の一部を抜粋、編集して紹介します。

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その薬、運転禁止薬や運転注意薬に該当していませんか

 みなさんは、医師から薬を処方される際に、運転への影響について聞いたことはありますか。運転禁止薬は国内で使われているものでも2700種類超あり、医療用医薬品の実に25%が指定されています。

 医療用麻薬であるオピオイド系鎮痛薬、認知症薬、抗精神病薬、鎮咳薬、解熱鎮痛薬、総合感冒薬、抗パーキンソン病薬、抗てんかん薬など…。

 風邪や関節痛で一般に処方されている薬が、眠気やめまいを引き起こす可能性のある「運転禁止薬」かもしれません。運転禁止薬とわかっていながら服用し、運転して事故を起こした場合は、危険運転致死傷罪になります。処方の際には、担当医に運転禁止薬や運転注意薬に該当していないか、聞くことが大切です。処方せんを受け取った時に、「先生、私は日頃運転をするのですが、これ、『運転禁止薬』とか『運転注意薬』じゃないですよね」と。

 面倒な患者だな、と邪険な態度をとられてごまかされたり、回答をしてもらえなかったりしたら、迷わずこう言ってください。

「もし、それに該当しているとわかって運転して交通事故を起こしたら私は危険運転致死傷罪になります。知らなかった場合、教えなかった先生の責任も問われます」

 これぐらい言わないと、医者たちも変わっていかないでしょう。

年をとればとるほど、引き算ではなく「たし算」医療

 私が一番悪いと思っているのが「低血糖」です。

 北米における糖尿病の大規模調査の代表的なもの(アコード試験)によると、HbA1c(糖尿病のリスクを見る検査数値)を正常値である6.0%以下に下げようとした群と、7.0~7.9%とした群を比較したところ、死亡率が25%も違っていました。

 なんと血糖値を正常値まで下げた群の方が死亡率が高かったのです。

 もちろん、HbA1cが非常に高い人が体に不調を感じて、ある程度下げてその人の健康を維持するという治療はよいと思います。

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高齢者の体には「足りない」のがよくない?