同じくパ・リーグの投手で面白いのが前田純(ソフトバンク)だ。中部商時代は全く無名の存在で、日本文理大でもリーグ戦初登板が3年秋という遅咲きの選手である。大学時代も140キロを超えるスピードを見たことはなかったが、長身左腕ということと、ボールの質の良さが買われて2022年の育成10位でプロ入りを果たした。

 2年目の今シーズンは開幕から二軍のローテーションで中心的な存在となりウエスタン・リーグでトップタイとなる10勝をマーク。7月には支配下登録も勝ち取っている。本格的な一軍デビューは来シーズン以降となりそうだが、チームは左の先発投手が不足しているだけに、一気にローテーション争いに加わりたいところだ。

 セ・リーグでまず名前が挙がるのが松木平優太(中日)だ。高校2年から本格的に投手を始め、3年時はコロナ禍で公式戦がなかったものの、練習試合で強豪の履正社を相手に好投したことからスカウトの間で評判となり、2020年の育成3位で中日に入団。年々着実に力をつけると、4年目の今シーズンはここまで二軍で10勝をマークし、前田とウエスタン・リーグの最多勝争いを演じている。

 7月8日に支配下登録されると、一軍で2試合目の登板となった7月31日のヤクルト戦では6回を無失点の好投を見せてプロ初勝利をマーク。ここまで7試合に先発して2勝をあげるなど、ローテーションの谷間を埋める存在となっている。柔らかい腕の振りで球持ちが長く、スピードガンの数字以上に勢いを感じるボールが持ち味。まだ調子の波が大きいのは課題だが、チームは若手投手が不足しているだけに、同学年でエースとなった高橋宏斗に続く存在として期待は大きい。

 野手は投手に比べると目立つ選手が少ないが、今年飛躍を感じさせたのが3年目の大里昂生(オリックス)だ。盛岡大付では3年時に春夏連続で甲子園に出場しているが、比嘉賢伸(元・巨人)や植田拓(元・バイタルネットなど)と比べると目立たない存在だった。東北福祉大でもレギュラーをつかんだのは最終学年になってからだが、4年春にベストナインを受賞するなど活躍し、2021年の育成3位でオリックスに入団した。

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