ブレイクが期待される育成出身の中日・松木平優太(写真提供・中日ドラゴンズ)
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 ドラフト会議に向けての話題も増える時期となってきたが、近年見逃せない存在となっているのが育成ドラフト出身の選手たちだ。早くから三軍制を導入したソフトバンク巨人の2球団以外も育成選手を多く抱える球団は増え、支配下登録を勝ち取るケースも目立つようになってきている。2年連続での盗塁王が濃厚となっている周東佑京(ソフトバンク)や現役ドラフトでの移籍をきっかけにブレイクした大竹耕太郎(阪神)などはその代表例と言えるだろう。そんな育成ドラフト出身で、今後の飛躍が期待できる選手は誰になるのだろうか(成績は9月25日終了時点)。

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 まず今年大きな可能性を見せたのがともに日本ハムで高校卒3年目の福島蓮と柳川大晟の2人だ。福島は八戸西のエースとして3年春に21世紀枠で甲子園に出場。当時の体重は70kgにも満たず、最近の高校生にしては珍しいくらい細かったが、それでも指のかかりの良さは当時から目立つものがあった。

 1年目は体力強化がメインだったが、2年目は二軍で先発として結果を残して今年3月に支配下登録。開幕早々に一軍デビューを果たすと、ここまで登板間隔を空けながら12試合に先発し2勝3敗、防御率3.54とまずまずの成績を残しているのだ。高校時代は140キロ程度だったストレートは150キロを超えるまでアップしており、決め球のフォークもブレーキがある。カウントをとる変化球のレベルが上がれば、一気に成績を伸ばすことも期待できそうだ。

 一方の柳川も九州国際大付では評判の大型右腕だったが、3年時は故障もあって伸び悩み育成ドラフトでのプロ入りとなった。1年目は大半を肘のリハビリに費やしたが、2年目から二軍で結果を残し、今年5月に支配下登録。夏場以降には一軍で抑えも任され、チーム2位となる8セーブをマークする活躍を見せた。疲れもあってか徐々に球威が落ちて打ち込まれるシーンも目立ったが、好調時の150キロを超えるストレートは一軍でも上位のレベルにあることは間違いない。福島、柳川ともにまだ若いだけに、無理使いはせずに大きく育ててもらいたいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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