いよいよ27日に迫った自民党総裁選。決選投票になるのは必至の情勢だが、決選投票を左右するのは「キングメーカー」2人の動きのようだ。
総裁選には9人が立候補しているが、各種の情勢調査などをみると小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障担当相の3人が一歩リードしている。小林鷹之前経済安保相、上川陽子外相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、河野太郎デジタル相、加藤勝信元官房長官は苦戦している。
1回目の投票は党員・党友票と国会議員票で争われ、過半数を獲得した候補がいない場合、上位2人の決選投票となる。今回は9人が乱立しているため、決選投票となるのはほぼ確実。小泉氏、石破氏、高市氏のうち2人の決選投票で新総裁が決まる見込みだ。
「決選投票では旧派閥が台頭する」
岸田文雄首相は裏金事件を受けて1月に派閥解消を表明した。これに応じ、麻生派をのぞき、旧岸田派をはじめとする派閥が解散、または解散の意向を表明した。
派閥解消の総裁選への影響について、長く自民党の政務調査役を務めた政治評論家の田村重信氏は、
「総裁選イコール派閥の勢力争い、キングメーカーの力の見せどころだった。しかし、岸田首相の派閥解消で大きな壁が崩れて、9人が出馬できた」
と話すが、決選投票となると状況が変わると言う。
「決選投票になることがほぼ確実となり、また旧派閥が台頭してきています。背景で2人のキングメーカーが動いている」
田村氏が指摘する2人とは、麻生太郎副総裁と菅義偉元首相だ。
麻生氏は安倍晋三元首相、菅氏、岸田首相と3人続けて、キングメーカーとして影響力を保ってきた。今回の総裁選では、自らの派閥から出ている河野氏を支援し、議員会館で他の議員の部屋を訪ねるなど活発に動いていた。しかし思惑と異なり、河野氏は情勢調査で伸び悩みが明らかになり、決選投票に残るのはほぼ絶望的な情勢になっている。